大学の創立記念行事や研究成果の発表・交流の場として開催される行事。日本では第二次世界大戦前の高等学校の寮祭に端を発するものもあるが、大学全体の祭典として大学祭が全国の大学で行われるようになるのは1950年代なかばからである。大学により組織・運営の主体などは異なるが、多くは学生会、学生自治会のなかの大学祭実行委員会などにより企画・運営される。大学側は、企画に要する物品の支給・貸与、あるいは運営費の直接補助という形で協力するのが一般的である。運営費については、学生側で独自に大学祭費として学生から集めることもある。大学祭には次のような意義があるといわれる。〔1〕課外活動の成果の発表、〔2〕大学の公開、〔3〕大学構成員相互の親睦(しんぼく)、〔4〕学風の高揚。しかし、大学祭を実態的にみると、60年代後半の大学紛争を契機として、全国的に政治的なものと享楽的・営利的なものとに二極分解する傾向がみられ、紛争が鎮静化して以降は後者が主流となる。こうした傾向に対して、大学祭のあり方を問う声は多い。大学祭は大学を取り巻く社会情勢や学生の問題意識を敏感に反映してきたことからすれば、大学祭のあり方は、社会の状況に学生がどのようにして主体性を主張するかという点で論じられるべきものといえよう。
外国の大学では、全学的な大学祭を行うことは数多くない。学寮やカレッジ、学部ごとに祭典が企画されることはあるが、研究発表や大学構成員の交流、交歓の場は年1回に集中されることなく、週末のダンス・パーティーや学生団体による講演会、討論会などの形で随時開かれるという場合が多いようである。しかし一方で、いわゆるストレス解消の場としてのお祭りが年に1回行われることもある。たとえばスウェーデンでは、5月1日のメーデー(春の陽光の回復を祝う祭り)の前日には、大学でも学生は盛大にこれを祝い、長い冬と普段の厳しい勉学生活から解放される。パリの大学都市でも、各国の寮生がそれぞれのお国ぶりの出し物でにぎやかに1日を過ごす行事を学年末に開催する。またイギリスでは、学生たちが学寮の中庭で花火をあげ、新入生も打ち解けて深夜まで騒ぐ11月5日のガイ・フォークス・デーGuy Fawkes Day(火薬陰謀事件Gunpowder Plotの記念日)がある。こうした行事は大学で行われるものではあるが、日本のように各大学の個別独自に行われるものではなく、元来国民的行事であるものを大学でも催すという色彩が強い。
[窪田眞二]
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