大槻文平(読み)おおつきぶんぺい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大槻文平」の意味・わかりやすい解説

大槻文平
おおつきぶんぺい

[生]1903.9.27. 宮城
[没]1992.8.9. 東京
実業家,財界人。 1928年,東京大学法学部を卒業後,三菱鉱業に入社し,労務畑一筋に歩む。第2次世界大戦後エネルギーが石炭から石油へと転換するなかで炭鉱の整理と大幅な人員削減を実施し,「人切り文平」の異名をとるが,その内実は再就職の斡旋など穏健策で事態を収拾した。石炭に代わる新規事業への進出をはかり,三菱セメント (のちの三菱鉱業セメント三菱マテリアル ) を設立して社長に就任。斜陽産業を成長産業に切り替える経営手腕が高く評価された。 1979年から8年間日本経営者団体連盟会長を務め,財界首脳の批判を浴びながら賃上げ抑制を敢行,成功に導いた。持論のハンブルライフ (質素な暮し) を貫いた人物としても知られる。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「大槻文平」の解説

大槻文平 おおつき-ぶんぺい

1903-1992 昭和時代の実業家。
明治36年9月27日生まれ。昭和3年三菱鉱業入社,労働部長などをへて38年社長。脱石炭,多角化すすめ,合併により生まれた三菱鉱業セメント(現三菱マテリアル)社長。54年から8年間日経連会長をつとめ,ベア抑制を主張。62年臨時行政改革推進審議会会長。平成4年8月9日死去。88歳。宮城県出身。東京帝大卒。著作に「私の三菱昭和史」。
格言など】経営者は働く者の生活責任を持ち,会社を立派に育て,それを次の後輩に渡していくのが責務

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