土壁上塗りの一種。色土と消石灰とを混合したものに苆(すさ)(普通は麻苆、上質のものには紙苆を用いる)を加え水練りする。色土の種類により浅黄(あさぎ)大津、黄大津、白大津などの仕上げが得られ、なお顔料により比較的自由に色相を調整することができる。表面は金鏝(かなこて)で平滑に押さえられるが、とくにていねいに磨き上げるものを磨(みがき)大津とよび、漆塗りに似た光沢を得ることができる。しかし大津壁は表面の劣化が比較的早いので、近年では見かけ上、ほぼ同様の仕上げを得られる漆食(しっくい)、ドロマイトまたは石膏(せっこう)プラスター塗りにとってかわられつつある。大津壁の名称は近江(おうみ)国(滋賀県)に古くから良質の白土の得られたことに由来する。漆食に比べて糊(のり)を必要としない手軽さを買われて江戸時代中期から使用が始まり、江戸では享保(きょうほう)年間(1716~36)に流行していたさまが『東都紀行』(1719)に活写されている。
[山田幸一]
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… 土壁は寺院建築とともに中国,朝鮮半島からもたらされたものと思われ,以来,日本建築の壁の主流となる。柱の間に貫・間渡しを通し,これに小(木)舞を縦横に細かく縄でかきつけ,下塗(荒壁),中塗,上塗の順に塗りつけていくもので,上塗の違いによって漆喰(しつくい)壁,土物壁,大津壁,砂壁などの種類がある。小舞は中世以前では木材を挽(ひ)き割った際の残材を用いた木小舞であったが,近世には割竹を用いた竹小舞となった。…
※「大津壁」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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