大津壁(読み)おおつかべ

精選版 日本国語大辞典 「大津壁」の意味・読み・例文・類語

おおつ‐かべおほつ‥【大津壁】

  1. 〘 名詞 〙 大津[ 一 ]をのりを用いないで上塗りした壁。
    1. [初出の実例]「黄扉通戚里、〈略〉漢は土徳ぢゃといふて、四方築地を、大津壁にした。これを黄扉といふ」(出典:唐詩選国字解(1791)七言古)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大津壁」の意味・わかりやすい解説

大津壁
おおつかべ

土壁上塗りの一種色土消石灰とを混合したものに苆(すさ)(普通は麻苆、上質のものには紙苆を用いる)を加え水練りする。色土の種類により浅黄(あさぎ)大津、黄大津、白大津などの仕上げが得られ、なお顔料により比較的自由に色相を調整することができる。表面は金鏝(かなこて)で平滑に押さえられるが、とくにていねいに磨き上げるものを磨(みがき)大津とよび、漆塗りに似た光沢を得ることができる。しかし大津壁は表面の劣化が比較的早いので、近年では見かけ上、ほぼ同様の仕上げを得られる漆食(しっくい)、ドロマイトまたは石膏(せっこう)プラスター塗りにとってかわられつつある。大津壁の名称は近江(おうみ)国(滋賀県)に古くから良質の白土の得られたことに由来する。漆食に比べて糊(のり)を必要としない手軽さを買われて江戸時代中期から使用が始まり、江戸では享保(きょうほう)年間(1716~36)に流行していたさまが『東都紀行』(1719)に活写されている。

[山田幸一]

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家とインテリアの用語がわかる辞典 「大津壁」の解説

おおつかべ【大津壁】

土壁の一種。石灰に色土と麻や紙を混ぜて水で練ったものを、金鏝(かなこて)で平滑に塗ったもの。漆喰(しっくい)とは違って糊(のり)を用いない。土の色により、黄大津、白大津、浅黄大津などに分かれる。◇滋賀県の大津付近で古くから良質の白土が採取できたことに由来。

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リフォーム用語集 「大津壁」の解説

大津壁

日本壁一つ。消石灰を水で練り、色土、もみすさを加えた土壁の一種。中塗り後に灰土を塗り、その上に色土と消石灰、麻スサまたは紙スサを水捏ねした上塗り材を塗り付ける高級仕上げ。紙スサを使わないで、こてで押さえる「並大津」と磨きの前工程として塗り剤を染み込ませた布で壁面を湿らせる「もどし」を行う「大津磨き」がある。

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世界大百科事典(旧版)内の大津壁の言及

【壁】より

… 土壁は寺院建築とともに中国,朝鮮半島からもたらされたものと思われ,以来,日本建築の壁の主流となる。柱の間に貫・間渡しを通し,これに小(木)舞を縦横に細かく縄でかきつけ,下塗(荒壁),中塗,上塗の順に塗りつけていくもので,上塗の違いによって漆喰(しつくい)壁,土物壁,大津壁,砂壁などの種類がある。小舞は中世以前では木材を挽(ひ)き割った際の残材を用いた木小舞であったが,近世には割竹を用いた竹小舞となった。…

※「大津壁」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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