天童市(読み)テンドウシ

デジタル大辞泉 「天童市」の意味・読み・例文・類語

てんどう‐し【天童市】

天童

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日本歴史地名大系 「天童市」の解説

天童市
てんどうし

面積:一一三・二〇平方キロ

山形盆地のほぼ中央部東寄りに位置し、南は山形市、北は東根市、南西端でわずかに東村山郡中山なかやま町に接し、西は最上川を隔てて寒河江さがえ市・西村山郡河北かほく町。東は奥羽脊梁山脈の面白おもしろ(一二六四・四メートル)が県境となるが、当市域は県境には接しない。田麦野たむぎのの東部は天童高原となり、県立自然公園となっている。これらの山地から流下する河川は勾配が急で、いずれも扇状地を形成している。とくに大規模な扇状地を形成しているのはみだれ川で、押切おしきり川と合成した複合扇状地は高度差一五五メートル、半径一一キロ、大町おおまち大清水おおしみずから成生なりゆう高木たかき小関こせきと市域北半分に及んでいる。扇状地上は畑地帯をなし、その南西部は水田地帯となり、湧泉が主たる用水となっている。市域南部は立谷たちや川扇状地で、山形市山寺地蔵堂やまでらじぞうどう辺りを扇頂部とし、扇端部は八幡はちまん山から芳賀はが清池しようげに至る弧状をなし、半径約六キロ、高度差一二〇メートルである。

雨呼あまよばり(九〇五・五メートル)奥羽山脈西端の主峰で、正法寺しようぼうじ川・蜂谷はちや川などの倉津くらづ川水系と、大滝おおたき沢・大岩おおいわ沢などの押切川水系および立谷川などの水源をなし、古来名のごとく雨乞の行われる信仰の山である。雨呼山と鵜沢うざわ(七三〇・六メートル)との尾根続きの鞍部に、ジャガラモガラとよばれる窪地がある。この窪地には数十個の風穴があり、古くから姥捨や竜女昇天の伝説が伝えられてきた。水晶すいしよう(六六七・九メートル)は東根市猪野沢いのさわとの境界にあり、山頂に大和やまと神社(現水晶山神社)を祀り、古くから近隣の信仰を集めてきた。山体は流紋岩からなり、山頂の洞穴には水晶が入っているところから山名となった。貞観一三年(八七一)に従五位下に叙された出羽国の利神は、水晶山の大和神社に比定されているが、明らかではない。気候は内陸盆地型で、夏冬・昼夜の寒暖の差が大きい。降水量は年間一一〇〇ミリで少なく、とくに平地の降雪量は少なく、県内最少降雪地となっている。

〔原始〕

縄文前期の遺跡としては上荒谷かみあらや遺跡、久野本くのもと柏木かしわぎ遺跡などがある。また中期の遺跡としては上荒谷から下荻野戸しもおぎのと上貫津かみぬくづ・清池・長岡ながおかと山麓から平地に及んでおり、また河川の段丘上に多くみられる。後期の遺跡は高木遺跡が代表的で、乱川扇状地の末端部に位置し、多量の遺物を出土している。中期と並んで晩期の遺跡も多く、矢口やぐち宮田みやでん渡戸わたどなどが知られており、山間の台地から最上川に近い低地まで広く分布をみる。発掘調査された矢口遺跡からは竪穴住居跡三棟が検出され、完形の香炉形土器が出土している。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「天童市」の意味・わかりやすい解説

天童〔市〕
てんどう

山形県東部,山形盆地の中央部に位置し,最上川の右岸にある市。山形,東根両市にはさまれ,寒河江市の東に位置する。市域の西部は山形盆地に属し,東部は奥羽山脈に含まれる山岳地帯。 1954年,天童町と成生 (なりゅう) 村,蔵増村,津山村,田麦野 (たむぎの) 村,山口村,寺津村の6村が合体。 58年市制施行。 62年豊栄 (とよさか) 村を編入。地名は南北朝時代に北畠天童丸が根拠地としたことに由来するという。初め最上家の一族天童氏の城下町,天正 12 (1584) 年天童氏が最上義光に追放されてからは羽州街道に沿う要地として発達。天保1 (1830) 年織田氏の館がおかれて以来再び城下町として繁栄。米作,畑作や果樹栽培が行われ,天童高原には牧場がある。下級武士の内職として始められた将棋駒や,木工家具の製作は地場産業として知られる。城址舞鶴山はサクラ,ツツジモミジの名所で,山元には文化財の若松寺 (じゃくしょうじ) 観音堂がある。周辺の農村には,サクランボ,ブドウ,リンゴ,モモなどの観光果樹園が多い。原崎沼 (ばらさきぬま) はカモの飛来地として有名。市街地東の矢野目には西沼田遺跡があり,史跡に指定されている。市域西部の平野地を JR奥羽本線,国道 13,48号線が南北に通る。その沿道に天童温泉があり,山形県下有数の温泉地。東部の面白山 (おもしろやま) 西麓一帯は天童高原県立自然公園に属する。面積 113.01km2。人口 6万2140(2020)。

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