山形盆地(読み)ヤマガタボンチ

デジタル大辞泉 「山形盆地」の意味・読み・例文・類語

やまがた‐ぼんち【山形盆地】

山形県中東部の断層盆地最上川が北へ貫流し、扇状地発達稲作サクランボウ・ブドウ栽培が盛ん。村山盆地

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精選版 日本国語大辞典 「山形盆地」の意味・読み・例文・類語

やまがた‐ぼんち【山形盆地】

山形県中東部の盆地。北に尾花沢、南に上山の副盆地がある。東は奥羽山脈の西を限る断層崖に、西は出羽山地に限られる。最上川が北流し、水田地帯を形成桑園も多かったが、果樹園に転換された。村山盆地。

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改訂新版 世界大百科事典 「山形盆地」の意味・わかりやすい解説

山形盆地 (やまがたぼんち)

山形県中央東部に位置する県内最大の盆地。村山盆地ともいう。北に袖崎丘陵を境として尾花沢盆地,南に蔵王金瓶(かなかめ)の火山泥流によって隔てられた上山(かみのやま)盆地があり,広義にはこれらの小盆地を含めて山形盆地といわれる。東部には蔵王山,面白(おもしろ)山(1264m),船形山(御所山)の火山群が連なる奥羽山脈,西部には葉山,白鷹山の両火山を含む出羽山地が配列し,それぞれ山形(滝山)断層崖と鷹戸屋山断層崖によって限られた断層地溝盆地である。東西約12km,南北約40km,面積約400km2の舟底型の厚い砂礫などが堆積した盆地で,標高約80~120m。盆地中央部を最上川が蛇行しながら北流し,これに南部から須川が馬見ヶ崎(まみがさき)川,立谷(たちや)川などを合わせて注ぎ,東部から乱(みだれ)川など,西部から寒河江(さがえ)川,富並川などが合流する。とくに奥羽山脈から流下する乱川,立谷川,馬見ヶ崎川の3河川は山麓付近から広大な扇状地を形成し,3扇状地で山形盆地の約半分を占める。西方に位置する月山・朝日両山地が冬季の季節風の流入を遮断するため,積雪量は県内の内陸盆地では最も少ない。しかし気温の較差が大きく,フェーン現象がしばしば発生するなど盆地特有の気候を示す。1933年7月25日山形市で40.8℃の全国最高気温を記録した(2008年現在,3位)。

 このような自然条件は盆地内の農業生産に大きく寄与しており,とくに明治初期に導入され,現在全国一の生産量を誇るオウトウ(サクランボ)や西洋ナシのほか,リンゴ,ブドウ,モモなどの一大生産地が,乱川扇状地,立谷川扇状地や寒河江川流域に形成されている。また盆地中央の沖積平野には全国でも有数の単位面積当り収量をあげる水田地帯が広がる。盆地内には県庁所在地の山形市をはじめ,天童市,寒河江市,東根市,村山市などの都市が発達し,県の行政・経済・文化の中心地域をなす。奥羽本線(山形新幹線)と国道13号線(羽州街道)が南北に通り,北山形駅より左沢(あてらざわ)線,羽前千歳駅から仙山線が分岐する。また国道48号,286号線は仙台市と,112号線(六十里越街道)は鶴岡市と連絡し,山形自動車道とともに東西幹線を形成する。東根市神町に山形空港があり,東京,大阪,名古屋,札幌と結ばれている。
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百科事典マイペディア 「山形盆地」の意味・わかりやすい解説

山形盆地【やまがたぼんち】

山形県東部,最上川上流の盆地。東縁に断層線が南北に走る。ほぼ紡錘形で長さ約40km。東側には乱川・立谷川・馬見ヶ崎(まみがさき)川の,西側に寒河江(さがえ)川の扇状地が発達。盆地面の大半は水田地帯をなすが,サクランボ,リンゴ,ブドウの産も多い。中心は山形市。
→関連項目河北[町]寒河江[市]中山[町]東根[市]村山[市]山形[県]山辺[町]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「山形盆地」の意味・わかりやすい解説

山形盆地
やまがたぼんち

山形県中央東部にある盆地。面積約 400km2。南北に長い船底形の形状を示す。東半分は奥羽山脈の西麓に発達する馬見ヶ崎川,立谷川,乱川の三大扇状地が占め,中央部には最上川が広い氾濫原を形成し,西半分には寒河江川の形成する扇状地が発達。東縁には断層線があると推定され,東根,天童などの温泉はこの線上に湧出している。盆地の南は蔵王山より押出された泥流で上山盆地と境される。西には月山 (1984m) ,朝日岳 (1870m) を含む磐梯朝日国立公園,南東には蔵王国定公園があり,周辺には観光資源が豊富。江戸時代には,山の手の村々は青苧 (あおそ) ,平野部ではベニバナを生産し,換金作物としていたが,明治になってからは,養蚕業が盛んになり,青苧畑もベニバナ畑もすべてクワ畑となった。第2次世界大戦後は養蚕が不振に陥り,かわってサクランボ,リンゴ,モモ,ブドウなどの果樹栽培が発達した。米作も大規模に行われている。盆地内の町々には,果物の缶詰工場がみられる。中心は山形市。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「山形盆地」の意味・わかりやすい解説

山形盆地
やまがたぼんち

山形県中東部にある盆地。村山盆地ともいう。南北約40キロメートル、東西約12キロメートルで南北に長い。東部は奥羽山脈、西部は出羽(でわ)山地と白鷹(しらたか)丘陵に囲まれ、東側を山形断層崖(だんそうがい)、西側を鷹戸屋(たかとや)山断層崖などに限られた断層盆地である。北部に尾花沢盆地(おばなざわぼんち)、南部に上山盆地(かみのやまぼんち)があり、広義にはこれらをあわせて山形盆地という。東側の山麓(さんろく)付近には山形市街地をのせる馬見ヶ崎(まみがさき)川扇状地や、サクランボ、リンゴ、ブドウなどの果樹園が卓越する立谷(たちや)川、乱(みだれ)川の扇状地が発達し、これら三扇状地で盆地面積のほぼ半分を占める。西方からは寒河江(さがえ)川が扇状地を形成。盆地の中央部西寄りを北流する最上(もがみ)川と支流須(す)川の沖積地は水田地帯が開ける。盆地の中心は山形市。

[中川 重]

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