山形県中央東部に位置する県内最大の盆地。村山盆地ともいう。北に袖崎丘陵を境として尾花沢盆地,南に蔵王金瓶(かなかめ)の火山泥流によって隔てられた上山(かみのやま)盆地があり,広義にはこれらの小盆地を含めて山形盆地といわれる。東部には蔵王山,面白(おもしろ)山(1264m),船形山(御所山)の火山群が連なる奥羽山脈,西部には葉山,白鷹山の両火山を含む出羽山地が配列し,それぞれ山形(滝山)断層崖と鷹戸屋山断層崖によって限られた断層地溝盆地である。東西約12km,南北約40km,面積約400km2の舟底型の厚い砂礫などが堆積した盆地で,標高約80~120m。盆地中央部を最上川が蛇行しながら北流し,これに南部から須川が馬見ヶ崎(まみがさき)川,立谷(たちや)川などを合わせて注ぎ,東部から乱(みだれ)川など,西部から寒河江(さがえ)川,富並川などが合流する。とくに奥羽山脈から流下する乱川,立谷川,馬見ヶ崎川の3河川は山麓付近から広大な扇状地を形成し,3扇状地で山形盆地の約半分を占める。西方に位置する月山・朝日両山地が冬季の季節風の流入を遮断するため,積雪量は県内の内陸盆地では最も少ない。しかし気温の較差が大きく,フェーン現象がしばしば発生するなど盆地特有の気候を示す。1933年7月25日山形市で40.8℃の全国最高気温を記録した(2008年現在,3位)。
このような自然条件は盆地内の農業生産に大きく寄与しており,とくに明治初期に導入され,現在全国一の生産量を誇るオウトウ(サクランボ)や西洋ナシのほか,リンゴ,ブドウ,モモなどの一大生産地が,乱川扇状地,立谷川扇状地や寒河江川流域に形成されている。また盆地中央の沖積平野には全国でも有数の単位面積当り収量をあげる水田地帯が広がる。盆地内には県庁所在地の山形市をはじめ,天童市,寒河江市,東根市,村山市などの都市が発達し,県の行政・経済・文化の中心地域をなす。奥羽本線(山形新幹線)と国道13号線(羽州街道)が南北に通り,北山形駅より左沢(あてらざわ)線,羽前千歳駅から仙山線が分岐する。また国道48号,286号線は仙台市と,112号線(六十里越街道)は鶴岡市と連絡し,山形自動車道とともに東西幹線を形成する。東根市神町に山形空港があり,東京,大阪,名古屋,札幌と結ばれている。
執筆者:中川 重
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
山形県中東部にある盆地。村山盆地ともいう。南北約40キロメートル、東西約12キロメートルで南北に長い。東部は奥羽山脈、西部は出羽(でわ)山地と白鷹(しらたか)丘陵に囲まれ、東側を山形断層崖(だんそうがい)、西側を鷹戸屋(たかとや)山断層崖などに限られた断層盆地である。北部に尾花沢盆地(おばなざわぼんち)、南部に上山盆地(かみのやまぼんち)があり、広義にはこれらをあわせて山形盆地という。東側の山麓(さんろく)付近には山形市街地をのせる馬見ヶ崎(まみがさき)川扇状地や、サクランボ、リンゴ、ブドウなどの果樹園が卓越する立谷(たちや)川、乱(みだれ)川の扇状地が発達し、これら三扇状地で盆地面積のほぼ半分を占める。西方からは寒河江(さがえ)川が扇状地を形成。盆地の中央部西寄りを北流する最上(もがみ)川と支流須(す)川の沖積地は水田地帯が開ける。盆地の中心は山形市。
[中川 重]
米テスラと低価格EVでシェアを広げる中国大手、比亜迪(BYD)が激しいトップ争いを繰り広げている。英調査会社グローバルデータによると、2023年の世界販売台数は約978万7千台。ガソリン車などを含む...
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加