精選版 日本国語大辞典 「天語歌」の意味・読み・例文・類語 あまがたり‐うた【天語歌】 〘 名詞 〙 上代歌謡。宮廷寿歌の一種で、天語連(あまがたりのむらじ)の伝えたものか。「事の語りごとも是をば」という終句をもち、「古事記‐下」に三曲見える。従来は、多く「あまことうた」と呼ばれた。[初出の実例]「此の三歌は天語歌(あまがたりうた)ぞ」(出典:古事記(712)下)天語歌の補助注記一説に、天語連と海語連とを同氏姓の異表記として、天語歌は伊勢の海人語部(あまがたりべ)が伝えたものとする。なお、同じ終句をもつものに、神語(かんがたり)がある。→神語(かんがたり) あまこと‐うた【天語歌】 〘 名詞 〙 ⇒あまがたりうた(天語歌) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
改訂新版 世界大百科事典 「天語歌」の意味・わかりやすい解説 天語歌 (あまがたりうた) 古代の宮廷歌謡。ヤマト朝廷の大嘗祭(だいじようさい)の酒宴に,伊勢の海部(あま)出身の族長,天語連(あまがたりのむらじ)(渡来系の海語連ではない)が部民の天語部を率いて大王(天皇)に服属を誓った,勧酒の寿歌に由来する。天語連から宮廷に貢いだ采女(うねめ)らも奏したか,宮廷風に物語化されて《古事記》雄略天皇条の3歌曲の名にのこる。歌詞は古い海部系の神話詞章にも通じ,歌劇的な神語(かむがたり)の結句〈事の語り言(ごと)もこをば〉の類型をもつ。執筆者:本田 義憲 出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報