結句(読み)ケック

デジタル大辞泉 「結句」の意味・読み・例文・類語

けっ‐く【結句】

[名]詩歌の終わりの句。特に、漢詩絶句の第4句。
[副]
とどのつまり。あげくのはて。結局。
「わたし自身で道をつけてやる方が―女の為だと考え」〈荷風・あぢさゐ〉
かえって。むしろ。反対に。
「いつも此同胞きょうだいを借りて重宝するを、此方こなたは―有難い事におもうて」〈紅葉・二人女房〉
アクセントはケックック。
[類語]結局つい畢竟ひっきょうとどの詰まり詰まるところ帰するところせんずるところ要するにどの道いずれ所詮しょせんどうせつまり矢張りいずれにしても挙げ句挙げ句の果ていよいよとうとう差し詰め究竟きゅうきょう果ては何と言ってもどっち道もはやとにかく何しろ何せ何分なにぶん何分にもなんにせよともかくともかくもともあれとまれとにもかくにもそれはともあれ遅かれ早かれ善かれ悪しかれすんでにほとんどすんでのことすんでの所どうにかこうにかどうにかやっとようやくなんとかかろうじてからくもやっとこさ間一髪危なくあわやすれすれようやっとどうかこうかかつがつどうやらこうやら曲がりなりにもやっとの事でまだしもまだえんやらやっとようよう危うく九死に一生を得るまあまあまあよっぽどかなりなかなかわりあいわりかたわりかし割に比較的まずまずかすかすどうやらなんとかかんとかそこそこそれなり増し次善セカンドベストベター及第無難ほどほど捨てたものではない満更まんざらでもないいまだしいま不徹底不十分及ばずながら不全不完全どうなりこうなり一応急場しのぎ当座しのぎ一時しのぎその場しのぎ

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精選版 日本国語大辞典 「結句」の意味・読み・例文・類語

けっ‐く【結句】

  1. [ 1 ]
    1. 詩歌の最後の句。結びの句。
      1. [初出の実例]「故以五句結句、余亦准之」(出典:歌経標式(772))
      2. [その他の文献]〔滄浪詩話‐詩法〕
    2. 物事の終わり。最後。結末
      1. [初出の実例]「ひしと結句をばしろしめつつ御さたはある事なれば」(出典:愚管抄(1220)四)
  2. [ 2 ] 〘 副詞 〙
    1. 物事が最後にゆきついた状態を表わす語。とどのつまり。あげくのはて。結局。
      1. [初出の実例]「酒にゑひて本心をうしなふゆゑに、人のめををかし、けっく庭鳥をぬすみてころしける」(出典:平仮名古活字三巻本宝物集(1179頃)下)
    2. 物事の状態が、予想していたのとは反対に、あるいは予想以上に発展するさまを表わす語。かえって。むしろ。その上。
      1. [初出の実例]「五郎は、ゆるさるる事はかなはで、けっく、後の世までと、ふかく勘当せられて」(出典:曾我物語(南北朝頃)七)

結句の語誌

( 1 )[ 一 ]が本来の用法と思われるが、鎌倉時代以前に用例を見出すことは難しく、わずかに挙例の「歌経標式」が見られるにすぎない。
( 2 )鎌倉時代においては、「結句」の前文後文とで、主語が異なる場合には[ 二 ]の意になることが多く、主語が同一の場合には[ 二 ]の意になることが多かったが、室町時代になると、主語が同一でありながら[ 二 ]の意を表わす例が多くなってくる。現在、[ 二 ]の意を表わす副詞としては通常「結局」が用いられるが、これが一般化するのは明治以降のことである。→「けっきょく(結局)」の語誌


け‐く【結句】

  1. 〘 副詞 〙 ( 「けっく(結句)」の変化した語 ) かえって。むしろ。また、あげくのはて。結局。
    1. [初出の実例]「おとこ面目なくて佗言の沙汰に及ばず、けく腹立する物なり」(出典:評判記・色道大鏡(1678)四)

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普及版 字通 「結句」の読み・字形・画数・意味

【結句】けつく

詩文末句。〔芸苑巵言、一〕七言律は中二聯はからざるも、は發端(ほつたん)び結句に在るのみ。發端は、の人佳ならざる無し。結も頗(すこ)ぶる之れり。

字通「結」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の結句の言及

【短歌】より

…5・7・5・7・7を上3句(5・7・5)と下2句(7・7)とに分け,前者を〈上句(かみのく)〉,後者を〈下句(しものく)〉と呼ぶ。第1句(5)を初句,頭句,起句,第2句(7)を胸句,第3句(5)を腰句,第5句を結句,尾句,落句などと呼んでいる。5句31拍に合わない作を〈破調〉といい,長すぎるものを〈字あまり〉,短いものを〈字足らず〉と呼ぶ。…

※「結句」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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