家庭医学館 「好酸球性膿疱性毛包炎」の解説
こうさんきゅうせいのうほうせいもうほうえん【好酸球性膿疱性毛包炎 Eosinophilic Pustular Folliculitis】
1970年に大藤教授(京都大学皮膚科)らによって初めて報告された疾患で、紅斑(こうはん)の周辺に毛包一致性無菌性膿疱(もうほういっちせいむきんせいのうほう)(毛孔部(もうこうぶ)だけの化膿(かのう))が集まったものです。おもに顔面や胴体(どうたい)の毛の生えた部分にでき、中心から外にむかって円状に広がり、中心部から治っていく傾向があり、一見すると体部白癬(たいぶはくせん)に似ています。
この疾患がエイズ患者に合併することが1986年に報告されて以来、海外では同様の報告が相次ぎ、日本でも最近報告されたため、エイズの皮膚症状の1つとして注目されています。
しかし、強いかゆみをともなう膨疹(ぼうしん)ができ、膿疱がはっきりしないなど、好酸球性膿疱性毛包炎と異なるところもあるため、エイズ関連好酸球性膿疱性毛包炎(かんれんこうさんきゅうせいのうほうせいもうほうえん)と診断するほうがよいとする説もあります。
[検査と診断]
組織を検査すると、好酸球(白血球(はっけっきゅう)の一種)が毛包(毛孔、毛嚢(もうのう))に浸潤(しんじゅん)(入り込む)していることがわかります。
なお、毛包の存在しない手のひらや足底(そくてい)にも生じるため、好酸球性膿疱性皮膚症(こうさんきゅうせいのうほうせいひふしょう)とも呼ばれます。
[治療]
インドメタシン剤の内服・外用がよく効きます。また、副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモンの内服・外用と、DDS(ジアフェニルスルホン、ダプソン。商品名レクチゾール)、ミノサイクリン剤の内服が行なわれます。