始馭天下之天皇(読み)ハツクニシラススメラミコト

デジタル大辞泉 「始馭天下之天皇」の意味・読み・例文・類語

はつくにしらす‐すめらみこと【始馭天下之天皇/御肇国天皇】

最初国土統治した天皇の意》第1代の神武天皇(始馭天下之天皇)、または第10代の崇神天皇(御肇国天皇)のこと。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「始馭天下之天皇」の意味・わかりやすい解説

始馭天下之天皇
はつくにしらすすめらみこと

神武(じんむ)天皇および崇神(すじん)天皇の敬称。『日本書紀』に、神武天皇は「始馭天下之天皇」、崇神天皇は「御肇国天皇(はつくにしらすすめらみこと)」(『古事記』では「所知初国之御真木(はつくにしらししみまき)天皇」)と記され、文字は違うが読みは通じ、ともに「初めて国を治めた天皇」を意味する。建国の祖という神武の統治は大和(やまと)の範囲にとどまり、崇神は大和の四周を平定し、内治の充実に尽くしたと伝えられる。そこで崇神を実質的な建国者とみる立場から、本来、崇神の敬称であったこの称が、のちに、大和政権起源を古くするために造作(ぞうさく)された神武にも及ぼされて同じ称呼になったのではないかとする説もある。

[星野良作]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

旺文社日本史事典 三訂版 「始馭天下之天皇」の解説

始馭天下之天皇
はつくにしらすすめらみこと

初めて国を治めた天皇の意
「御肇国天皇」とも書く。神武天皇と崇神天皇がともにこの名をもっている。神武天皇は実在と考えられず,崇神天皇が実在の最初の天皇であろう。記紀によると,崇神天皇は天照大神 (あまてらすおおみかみ) を祭り四道将軍を派遣し,溝池を開き,租税制度を確立したとされるが,このようなところから,この名が生まれたのであろう。

出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「始馭天下之天皇」の意味・わかりやすい解説

始馭天下之天皇
はつくにしらすすめらみこと

初めて建設された国,あるいは革新された国を統治してゆく天皇をさしていう。『日本書紀』の「神武紀」には,始馭天下之天皇と記し,「崇神紀」には,御肇国天皇と記しており,それぞれ神武天皇崇神天皇をさしている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の始馭天下之天皇の言及

【神武天皇】より

…高天原(たかまがはら)より天津神(あまつかみ)の子として地上に降臨した瓊瓊杵(ににぎ)尊の曾孫とされる。神武という名は8世紀後半の命名による漢風諡号(しごう)で,記紀には,(1)若御毛沼(わかみけぬ)命,(2)神倭伊波礼毘古(かむやまといわれびこ)命,(3)始馭天下之天皇(はつくにしらししすめらみこと)ほか多くの名が記されている。(1)は穀霊的性格を示す幼名にあたり,(2)は神聖な大和の国のいわれ(由緒)を負うている男,(3)は初めて天下を治定した天皇の意である。…

※「始馭天下之天皇」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android