学校給食の牛乳中止問題(読み)がっこうきゅうしょくのぎゅうにゅうちゅうしもんだい

知恵蔵 「学校給食の牛乳中止問題」の解説

学校給食の牛乳中止問題

新潟県三条市が2014年12月から4カ月間、市立小中学校給食で、牛乳の提供を試験的にやめることにしたことに端を発する問題。賛否両論が湧き起こり、各方面に波紋が広がっている。
三条市は08年4月から、週5日間の全ての給食で、主食を地元産コシヒカリとする完全米飯給食を実施している。これに対し「ご飯に牛乳は合わない」との声が寄せられていたことに加え、14年4月からの消費税増税を受けた給食費の引き上げを避ける狙いもあり、飲み残しの多い冬場の牛乳中止を決めた。牛乳の中止期間中は、カルシウムなどの栄養不足を補うため、肉や魚、大豆製品などを増量し、小魚ゴマなどを使ったふりかけの提供を増やすほか、家庭での飲用を促す。15年度以降については、4カ月の試行結果を見て決めるとしている。
この決定は新聞やテレビで大きく報道され、ネット上でも話題になった。栄養面でも食文化の面でも意見は分かれており、栄養士団体や酪農乳業の業界団体からは、栄養面などから学校給食における牛乳の意義を訴える声が上がったほか、和食の献立強化を図る京都市でも検討課題になっているという。保護者や子どもたちの意見にも賛否どちらもあり、多くの人がなじんできた給食の牛乳への関心の高さがうかがえる。
学校給食での牛乳提供が本格的に始まったのは1964年からで、当初パン食中心だった。近年では米飯給食が増え、2012年の国の調査では、約95%の学校で週3日以上米飯給食が実施されていた。

(原田英美  ライター / 2014年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報