日本の自然に育まれてきた魚や野菜などの材料を伝統的な方法で調理し、おもに、米のご飯と汁、漬け物、おかずを組み合わせた食事。食事の内容に明確な定義はなく、もっとも基本的な食膳を一汁三菜という。これはご飯と漬け物に、魚や天ぷらなどの主菜1種と、野菜を中心に調理された副菜2種をあわせた3種のおかず、汁1種を揃えた料理である。調理には多くの水が使用され、煮る、蒸す、焼くなどの調理方法がだしを取る段階から何度も組み合わせて用いられる。魚や野菜を生のままで食する場合、専用の調理道具を使って細やかに仕上げられることも特徴の一つである。
和食は日本料理、日本食、日本食文化などと同義で用いられる。日本料理という名称は、1898年(明治31)に刊行された石井泰次郎著の『日本料理法大全』により、西洋料理と対比するために用いられ、それが定着したとされる。和食という名称がいつから使われているかは定かでなく、日本料理という名称よりも、さらに後のことであろうと考えられる。
2013年(平成25)、和食はユネスコ世界無形文化遺産に「和食―日本人の伝統的な食文化」として登録された。この登録における和食が意味するものは、「自然を尊ぶ日本人が形づくってきた食に関する習わし」を包括的にまとめた内容であり、以下のような四つの特徴がある。(1)南北に長い国土と海、山、里の豊かな自然の中で育まれてきた多様な食材と、それを調理する技術や道具の発達、(2)一汁三菜を基本とし、だしのうま味を生かして動物性油脂や塩分を控えた健康的な食生活、(3)自然の美しさや四季の移ろいを食事と調和させた料理のくふうをはじめ、器や調度品の利用に表れた美意識、(4)正月や田植えをはじめ、自然の恵みを尊ぶ年中行事と食が密接に関係した文化が受け継がれ、家族や地域のきずなが守られていること。世界無形文化遺産の登録は、料理や調理方法だけでなく、家族や社会的慣習を含んだものとなっている。
和食以外の食に関する世界無形文化遺産には、「フランスの美食術」(2010)、韓国の「キムジャン(キムチづくりの文化)」、ジョージア(グルジア)の「古代ジョージアの伝統的な発酵ワインづくり」、トルコの「トルココーヒーの文化と伝統」(以上、2013)などがある。
[編集部]
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…那賀川中流に位置する。中心集落の和食(わじき)は,藩政時代,上流の仁宇谷(にうだに)(丹生谷)58ヵ村組頭庄屋の所在地で,渓口集落としての性格をもち,この地方一帯の中心地として発展した。農林業が主産業で,杉,ヒノキなどの林産物のほか,米,たけのこ,ミカンなどを産する。…
※「和食」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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