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宗教美術 しゅうきょうびじゅつreligious art

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

宗教美術
しゅうきょうびじゅつ
religious art

あるものに超人的威力を感じ,それに畏怖,驚異,信頼の情をいだいて祈願礼拝し,あるいは祭祀儀礼を行う場合,人間には具体的な対象を想定する傾向がある。その際,それらがなんらかの美的意匠を目指して具象化されたもの,あるいは後世になって美的対象として鑑賞されたものを宗教美術という。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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世界大百科事典 第2版の解説

しゅうきょうびじゅつ【宗教美術】


偶像崇拝と偶像否定]
 宗教はまず主観的な心的現象として現れるが,それは一般に客観的な共同的・社会的現象としての形をとる。そして超人間的存在に対する祈願ないし礼拝のための共同の場所が要求される。それは原始宗教にあっては洞窟,森など主として自然のなかに選ばれるが,発達した宗教においては特殊な構造をもった建築を要求する。かくて成立する宗教建築は早くから造形的努力の主要な対象であった。さらに,自然物そのものに神格を与える場合は別として,一般の宗教には超人間的存在に一定の可視的形象を与えてこれを礼拝祈願の対象にする傾向がある。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

宗教美術
しゅうきょうびじゅつ

宗教上の目的でつくられた美術のことで、建築、絵画、彫刻、工芸、書などあらゆる分野が含まれることが多い。その歴史は古くさかのぼり、たとえば、インダス文明シール(封印)などに刻まれた牛や神像なども、呪術(じゅじゅつ)的な意味をもつものであれば宗教美術とよんでもよいわけで、同様に、ラスコーやアルタミラの洞窟(どうくつ)絵画についても原初的な宗教性が認められる。つまり原始美術にあっては、洋の東西を問わず、宗教性、換言すれば、超人間的存在に対する畏怖(いふ)、祈願といったものを造形的手段を用いて表現している。
 歴史時代に入り、宗教美術が明確な形をもつようになると、各宗教には相違する点、共通する点が示され、あるいは相互に影響を及ぼしながら特色を発揮する。仏教では、神格化された釈迦(しゃか)像は紀元1世紀末ころに初めてつくられ、それまでは宝輪、宝樹、足跡などをもって象徴されていた。またキリスト教でも初期には小羊、鳩(はと)、魚などで象徴的に表されることが多かった。それは、釈迦でもキリストでも超現実的な無限な霊威を備えた存在を、人間の形をもって表すことは神格の冒涜(ぼうとく)であるとみなされたからである。イスラム教やユダヤ教が偶像崇拝を拒否するのも同じ理由によると思われる。仏教がヘレニズム美術の影響を受けて仏像をつくるに及び、人間としての釈迦像は東アジア各地に民族性の濃い美術を普及させた。一方イスラム教は具体的な人間表出を禁ずる反面、草花や幾何学文様など装飾美術に多様な展開をみせるようになった。
 ヨーロッパにおいては、中世、近世を経てキリスト教美術が主流となり、西欧美術はキリスト教一色に塗りつぶされている感があるのに対し、アジアにおいては、仏教、イスラム教のほかにもゾロアスター教、ジャイナ教、ヒンドゥー教、チベット仏教(ラマ教)、道教、あるいはわが国の神道(しんとう)など、地域によって宗教を基盤にした美術がつくられてきた。
 宗教美術の特性は、鑑賞用の純粋美術と比べ、現実的、感覚的であってはならず、神への崇敬を無条件に呼び起こす、宗教的刺激を与えるものでなければならない。キリスト教の聖書、仏教の経典などがよりどころになってつくられるものであるが、その内容の表出には作者のイマジネーションの大きな飛躍が要求される。中国では古くから純粋に鑑賞を目的とする絵画が描かれたが、人類の歴史からみれば、その長い歴史のほとんどは宗教美術の歴史といっても過言ではない。[永井信一]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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