寺請(てらうけ)証文、寺送状、寺請状、寺請手形などとも称される。江戸時代に寺院が発行した檀家(だんか)の宗旨・檀那寺(だんなでら)を証明する文書。江戸初期、キリシタン禁圧の目的で始まり、当初は改宗者の証明であったが、のち一般化し、婚姻、移住、旅行、奉公人の雇い入れなどの際に身分証明書として発行された。書式も初めは一定しなかったが、宗旨人別帳制度が成立した以後は、住所・屋号・名前を記し「当寺旦那(だんな)に紛れござなく候」という証明と、相違があったときは責任をとる旨の文言を加える様式になった。奉公先の町・村役人や婚家の檀那寺に宛(あ)てられた。
[大桑 斉]
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