芍薬(読み)しゃくやく

精選版 日本国語大辞典 「芍薬」の意味・読み・例文・類語

しゃく‐やく【芍薬】

〘名〙 キンポウゲ科多年草。アジア北東部原産で、日本へは古く中国から薬草として渡来した。今日では、広く観賞用に原種から作出された園芸品種が栽培されている。高さ六〇~九〇センチメートル。葉は二回三出の複葉初夏、茎の先端に、長い花柄をのばし、大形で径一五センチメートルぐらいの花を単生する。萼は緑色で五弁、花弁は八弁以上で品種により形状や花色はさまざまである。根は鎮痛鎮静薬として煎服する。漢名、芍薬。えびすぐさ。えびすぐすり。かおよぐさ。《季・夏》
※文華秀麗集(818)下・観闘百草、簡明執〈滋野貞主〉「芍薬花、蘼薫花随攀逆落受軽妙
[語誌]「詩経‐鄭風」の「勺薬」は別種という。唐代に牡丹が愛好されるようになると、牡丹の花王に対して花相ともいい、草本なので草牡丹とも呼ばれた。日本には薬種としてもたらされ、「本草和名」に「衣比須久須利(エビスグスリ)」「奴美久須利(ヌミグスリ)」の訓がある。

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デジタル大辞泉 「芍薬」の意味・読み・例文・類語

しゃく‐やく【×芍薬】

ボタン科の多年草。高さ約60センチ。葉は複葉。初夏、大形の紅・白色などのボタンに似た花を開く。漢方で根を乾かして鎮痙ちんけい鎮痛薬とする。アジア大陸北東部の原産。品種も多い。顔佳草かおよぐさ夷草えびすぐさ 夏》「―や枕の下の銭減りゆく/波郷

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漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典 「芍薬」の解説

しゃくやく【芍薬】

漢方薬に用いる生薬(しょうやく)の一つ。ボタン科シャクヤクの根を乾燥させたもの。鎮痛鎮静けいれん止め、抗炎症、利尿などの作用があり、婦人疾患にも有効とされる。胃けいれんや筋肉のけいれんに効く芍薬甘草湯(かんぞうとう)アレルギー性鼻炎アレルギー性結膜炎気管支炎関節炎に効く小青竜湯(しょうせいりゅうとう)腹痛腰痛頭痛めまい低血圧貧血に効く当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)などに含まれる。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「芍薬」の解説

芍薬 (シャクヤク・エビスグスリ;ニイクスリ)

学名:Paeonia lactiflora
植物。ボタン科の多年草,園芸植物,薬用植物

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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