定智(読み)じょうち

改訂新版 世界大百科事典 「定智」の意味・わかりやすい解説

定智 (じょうち)

平安後期(12世紀前半)の画僧生没年不詳。はじめ三井寺法輪院覚猷の下で密教図像の収集に協力し,のち醍醐寺高野山に移り作画に携わる。1132年(長承1)落成の高野山大伝法院の壁画制作に当たった。45年(久安1)の《善女竜王像》(金剛峯寺)が現存し,年代と作者の確定できる平安時代唯一の作例である。〈善女竜王〉とは弘法大師空海が824年(天長1)神泉苑に雨を祈ったとき,愛宕山上に出現した竜王であると言い伝えられている。墨線の鋭い素描力に特色がある。転写本ではあるが,《仁王経五方諸尊図》(東寺)や《十二神将図像》(益田家旧蔵)などの白描図像に定智の筆様を見ることができる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「定智」の意味・わかりやすい解説

定智
じょうち

12世紀中頃の絵仏師。初め園城寺法輪院の覚猷のもとで密教図像の書写収集に努め,のち高野山や醍醐寺に在住して,仏画制作に活躍した。久安1 (1145) 年に描いた『善女竜王像』 (国宝) が高野山金剛峰寺に現存,新来の宋画に基づいて,鋭く伸びやかな墨線を駆使した画風を示す。ほかに『仁王経五方諸尊図』 (教王護国寺) や『十二神将図像』 (益田家旧蔵) などの白描図像が,転写本ながら定智の筆様を伝える。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「定智」の解説

定智 じょうち

?-? 平安時代後期の画僧。
園城寺(おんじょうじ)法輪院の覚猷(かくゆう)に協力して密教図像を収集。長承元年(1132)落成の高野山大伝法院の壁画を,宅磨為遠(ためとお)とともに制作した。作品に「善女竜王像」(金剛峰寺)。

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