実肥(読み)ミゴエ

デジタル大辞泉 「実肥」の意味・読み・例文・類語

み‐ごえ【実肥】

植物の開花・結実などをよくする肥料。主に燐酸りんさん肥料をいう。

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改訂新版 世界大百科事典 「実肥」の意味・わかりやすい解説

実肥 (みごえ)

イネのもみの稔実をよくするために,出穂以後に追肥する肥料をいう。実肥には主として窒素肥料を用いる。昔は,出穂後のイネには養分供給は必要でなく,むしろ窒素分が水田に残って吸収されると病虫害を受けやすくなり,でき遅れによる減収もあるため,実肥は有害無益とされていた。近年になって,多収性の品種を栽培するようになると,これらは出穂後も多量の窒素を吸収していることが明らかにされ,実肥の効果が認められる場合のあることも知られるようになった。とくに稔実歩合が低く,出穂時のイネの葉の窒素含量が1.3%以下と低い場合や養分の溶脱の激しい砂質の水田では効果が期待される。実肥は10a当り硫安を窒素で2~3kg施用するが,このころはすでに根の活力が衰えており,根腐れのおそれもあるので尿素を用いることも多い。また,尿素を2%含む水溶液を10aに9~15lほどずつ2~3回イネの葉面に散布することもある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「実肥」の意味・わかりやすい解説

実肥
みごえ

稲の実りをよくするために穂の出たあとで施す追肥のことで、葉の光合成能力を高め、米の主成分であるデンプンの合成を直接増やす効果がある。硫安、尿素などの速効性窒素肥料が大部分を占めるが、カリカリウム)なども施されることがある。地力の乏しい砂質や礫質(れきしつ)の水田、高収量の稲や九州、四国などの暖地の晩生種の稲でよく用いられるが、登熟期間の天候の良否が実肥の効果を大きく左右するので、むやみに施すと効果がみられないばかりか食味を低下させ病虫害の発生を招き、かえって減収することがあるので注意が必要である。

[小山雄生]

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世界大百科事典(旧版)内の実肥の言及

【追肥】より

…穂に着生するもみの数の増加,分げつの確保および止葉(とめば)の生長促進と稔実の向上などの効果が期待される。(3)実肥 出穂後に施用する追肥で,多収穫イネの栽培では広く用いられるようになった。もみの稔実向上の効果がある。…

※「実肥」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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