ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「室伏広治」の意味・わかりやすい解説
室伏広治
むろふしこうじ
陸上競技の男子ハンマー投げ選手。「アジアの鉄人」と呼ばれたハンマー投げ選手の父,室伏重信が編み出した高速四回転投法を磨きあげて,2004年アテネ・オリンピック競技大会(五輪)で金メダル,2012年ロンドン・オリンピック競技大会で銅メダルを獲得した。10歳からハンマー投げを始め,高校入学後,本格的に取り組み,1991,1992年の全国高等学校総合体育大会(インターハイ)で 2連覇を達成,1992年世界ジュニア陸上競技選手権で 8位につけた。1993年父が勤務する中京大学に入学。1998年父の日本記録(75m96)を 14年ぶりに更新する 76.65mを記録。2000年以降は 80m以上をマークするようになり,2003年までに 84m86まで伸ばした。その間 2001年のカナダのエドモントンでの世界選手権大会で,日本の投てき陣としては初のメダルとなる銀メダルを手にした。2004年のアテネ五輪では 1位のハンガリーの選手に 28.0cm及ばない 82.91mで銀メダルを獲得したが,7日後,ドーピング(不正薬物使用)によりハンガリー選手の金メダルが剥奪され,繰り上げ優勝となった。2008年の北京オリンピック競技大会は 5位入賞。上位 2選手のドーピング疑惑で一時的に 3位に繰り上がったが,処分撤回により順位が戻された。2011年の大韓民国のテグ(大邱)で行なわれた世界選手権では,男子としては史上最年長の 36歳で金メダルに,翌 2012年のロンドン五輪では銅メダルに輝いた。1995~2014年日本選手権 20連覇,1998,2002年アジア競技大会 2連覇。2016年競技生活から引退。2014年東京医科歯科大学教授。2014年東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会スポーツディレクター,2015年アジア・オリンピック評議会 OCA理事,日本オリンピック委員会 JOC理事,日本陸上競技連盟 JAAF理事,2020年スポーツ庁長官就任。2004年紫綬褒章受章,2011年国際フェアプレー賞受賞。
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