宮本研(読み)ミヤモト ケン

20世紀日本人名事典 「宮本研」の解説

宮本 研
ミヤモト ケン

昭和期の劇作家



生年
大正15(1926)年12月2日

没年
昭和63(1988)年2月28日

出生地
熊本県天草郡大矢野町

本名
宮本 照(ミヤモト テラシ)

学歴〔年〕
九州大学法文学部経済科〔昭和25年〕卒

主な受賞名〔年〕
岸田國士戯曲賞(第8回)〔昭和37年〕「日本人民共和国」「メカニズム作戦」,芸術祭奨励賞〔昭和37年〕「明治の柩」,芸術祭大賞〔昭和48年〕「鉄の伝説

経歴
昭和13年父の勤務地・北京に渡り、北京日本小学校、北京日本中学校に学ぶ。19年帰国。25年九大卒業後、高校教師を経て、27年法務省に入り、10年間事務官として勤務。そのかたわら、自立劇団・麦の会を作り、32年処女作「僕等が歌をうたう時」を発表し、33年に「五月」を発表。社会問題を背景とし、後にブレヒトの演劇観に接近していった。37年「日本人民共和国」「メカニズム作戦」で岸田國士戯曲賞を受賞。42年英国の劇作家アーノルド・ウェスカーを招き3部作を上演。“ウェスカー68”の発起人代表を務める。他の代表作に「明治の枢」「美しきものの伝説」「阿Q外伝」「聖グレゴリーの殉教」「夢・桃中軒牛右衛門の」「花いちもんめ」など、また戯曲集「ザ・パイロット」「革命伝記四部作」がある。「宮本研全集」(白水社)が刊行されている。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「宮本研」の意味・わかりやすい解説

宮本研
みやもとけん
(1926―1988)

劇作家。熊本県に生まれる。九州大学経済学部卒業後、法務省に入る。自立劇団「麦の会」を組織、その体験を描いた『僕らが歌をうたう時』(1956)で注目された。『反応工程』(1959)、『日本人民共和国』(1961)を発表、1962年(昭和37)法務省を退職、『メカニズム作戦』で岸田戯曲賞受賞。続いて『明治の柩(ひつぎ)』(1962)、『ザ・パイロット』(1964)、『美しきものの伝説』(1968)を完結民衆と革命の諸問題を力強いモチーフと堅牢(けんろう)な構成力によって提示した。その後『夢・桃中軒牛右衛門(うしえもん)の』(1976)、『からゆきさん』(1977)、『新釈金色夜叉(こんじきやしゃ)』(1981)など。

[大島 勉]

『『ザ・パイロット』(1970・晶文社)』『『革命伝説四部作(「明治の柩」「美しきものの伝説」「阿Q外伝」「聖グレゴリーの殉教」)』(1971・河出書房新社)』『『夢・桃中軒牛右衛門の』(1978・河出書房新社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「宮本研」の意味・わかりやすい解説

宮本研
みやもとけん

[生]1926.12.2. 熊本,天草
[没]1988.2.28. 神奈川
劇作家。本名照 (てらし) 。中学時代を北京で過す。九州大学経済学部卒業。高校教諭を経て法務省に勤務,地域の演劇サークル「麦の会」をつくり,1956年に処女作『僕らが歌をうたう時』を上演。以後第2期の自立演劇運動を支えた (→アマチュア演劇 ) 。二・一スト中止をめぐる状況を描いた『日本人民共和国』 (1960) と『メカニズム作戦』 (62) で第8回岸田戯曲賞を受賞後,退職して執筆に専念する。代表作は,田中正造をモデルにした『明治の柩』 (62) ,大正期のアナキストや芸術家たちを描いた『美しきものの伝説』 (68) ,魯迅の小説を下敷きにした『阿Q外伝』 (69) などの「革命伝説四部作」や『夢・桃中軒牛右衛門の』 (76) ,『からゆきさん』 (77) などで,革命と民衆の夢をめぐる男女の葛藤をモチーフとした。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「宮本研」の解説

宮本研 みやもと-けん

1926-1988 昭和時代後期の劇作家。
大正15年12月2日生まれ。法務省につとめながら自立劇団麦の会を主宰。昭和37年「日本人民共和国」「メカニズム作戦」により岸田国士戯曲賞をうけ法務省を退職,劇作に専念した。昭和63年2月28日死去。61歳。熊本県出身。九大卒。本名は照(てらし)。作品はほかに「美しきものの伝説」「夢・桃中軒牛右衛門の」など。

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367日誕生日大事典 「宮本研」の解説

宮本 研 (みやもと けん)

生年月日:1926年12月2日
昭和時代の劇作家
1988年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の宮本研の言及

【ブレヒト】より

… 第2次大戦後ブレヒトの活動が再び国際的な注目を浴びだした50年代から,千田是也が精力的に導入を試み,53年の《第三帝国の恐怖と貧困》の上演以後,俳優座や若手劇団による上演が活発化し,合同公演《ガリレイの生涯》(1958)で異化効果や叙事演劇の問題が論じられるようになった。ブレヒトを単純な啓蒙政治劇とみた保守派や,リアリズムを逸脱するとみた教条的進歩派の誤解はあったが,その方法論は,安部公房,宮本研,福田善之などの劇作にも影響を与えだした。60年代の政治的な季節には,既成の硬直化した演劇の反措定として,教育劇も含めた方法の政治的な有効性がクローズ・アップされた。…

※「宮本研」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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