続古事談(読み)ゾクコジダン

デジタル大辞泉 「続古事談」の意味・読み・例文・類語

ぞくこじだん【続古事談】

鎌倉時代説話集。6巻。作者未詳。建保7年(1219)の成立とされる。「古事談」をまね、史話故事・伝説などを仮名文で記したもの。

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精選版 日本国語大辞典 「続古事談」の意味・読み・例文・類語

ぞくこじだん【続古事談】

  1. 鎌倉前期の説話集。六巻(第三巻欠)。編者未詳。建保七年(一二一九)成立。源顕兼の「古事談」を模したもので、王道后宮・臣節・神社仏寺・諸道・漢朝の各編に分け、約一六〇話を収める。「長秋記」「中右記」「中外抄」などを典拠とし、史話・故事伝説などを和文脈の強い仮名文で記録したもの。

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改訂新版 世界大百科事典 「続古事談」の意味・わかりやすい解説

続古事談 (ぞくこじだん)

鎌倉前期の説話集。編者未詳。1219年(承久1)成立。6巻。ただし,巻三を欠く。説話を分類収録し,その形態は中国類書に似る。分類項目は,〈王道后宮〉〈臣節〉〈神社〉〈仏寺〉〈諸道〉〈漢朝〉が現存。散逸した巻三は〈臣節〉と〈神社〉との間に位置し,〈僧行〉〈勇士〉であったと推測される。分類項目は《古事談》を継承するが,〈漢朝〉をたてているのが大きな特色である。跋(ばつ)に〈フルキ人ノサマザマノ物語ヲ,オノヅカラ廃忘(はいもう)ニソナヘンガタメニ,カキアツメ侍リシ〉とあるように,先人の事跡を記録して後代に伝えることを目的としている。文学をめざしたものというよりは,むしろ歴史記録である。収録説話は,日本のものは平安時代の貴族社会の逸話が中心であり,王朝貴族文化への憧憬の姿勢がみられる。〈漢朝〉に収録された中国説話は,中国を理想社会とする視点で叙述されており,本書を特徴づけている。185話が現存。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「続古事談」の意味・わかりやすい解説

続古事談
ぞくこじだん

鎌倉初期の説話集。六巻(ただし現存諸本は第三巻を欠く)。現存本の収載説話は、王朝時代の天皇・貴族の逸事を中心に、中国説話も含む185話。編者不明であるが、内容に帝王のあるべき道を示そうとする意識が認められ、承久(じょうきゅう)の乱を前にした後鳥羽(ごとば)院への諫言(かんげん)の書という説もある。跋文(ばつぶん)には、建保(けんぽう)7年(1219)4月23日、草庵(そうあん)の中で完成したことが記される。巻構成は、巻六の漢朝部を除き、書名どおり『古事談』にほぼ準じる。しかしながら、文体は和文であり、説話の性格にも相当の違いがある。本書の説話には儒教的教訓性が強い。学才称揚の姿勢、および尚古思想、末代意識も顕著である。出典には『古事談』『中外抄(ちゅうがいしょう)』『富家語(ふけご)』『中右記(ちゅうゆうき)』『長秋記』などが認められる。

[木下資一]

『神戸説話研究会編『続古事談注解』(1994・和泉書院)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「続古事談」の意味・わかりやすい解説

続古事談
ぞくこじだん

鎌倉時代の説話集。6巻 (1巻欠) 。著者不詳。建保7 (1219) 年成立。『古事談』にならい,王道后宮以下の項目を設け,『台記』『今鏡』などに取材した貴族社会を主体とした説話を収めている。第6巻の漢朝編は,中国の著名な故事,説話を集めており,本書の特色をなす。

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