富永荘(読み)とみながのしょう

百科事典マイペディアの解説

富永荘【とみながのしょう】

近江国伊香(いか)郡に置かれた荘園。現滋賀県高月町から木之本町域(いずれも合併し,現在は長浜市)にわたる荘域。鎌倉期に延暦(えんりゃく)寺領としてみえ,荘内には院に奉仕する召次(めしつぎ)の下地があった。当荘の支配は,荘園領主−政所(そうまんどころ)−代官−中司,勘定衆−惣政所−中司,山門(さんもん)使節−惣政所−中司という三つの系統によって行われ,山門使節延暦寺領内では守護に準ずる権限をもっていたようである。荘内の雨森・井口・渡岸寺(どうがんじ)など諸郷には荘官がいて,郷ごとに村が形成されていた。荘内の井口日吉神社には多数の文書が残され,1421年の将軍足利義持の延暦寺参籠にあたっての賦課,同寺修理の人夫役,1422年の用水井をめぐる相論,凶作に伴う百姓らの免除願い,山林の盗伐や殺害事件,また高利貸しの活動など多様な側面をうかがうことができる。

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世界大百科事典 第2版の解説

とみながのしょう【富永荘】

近江国伊香郡(現,滋賀県伊香郡高月町,木之本町あたり)の荘園。《近江輿地志略》には〈伊香郡の南にある荘にして,浅井郡との界也〉とある。荘域について四至を的確に示すことはできないが,現在の高月町,木之本町が想定されている。成立の時期もその事情も明らかでないが,鎌倉時代には延暦寺領として存在しており,荘内に院に奉仕する〈召次(めしつぎ)〉の下地のあったことも知られている。高月町井口の日吉神社には,1420‐25年(応永27‐32)にいたる古文書案62点をはじめとする本荘に関する史料が蔵されている。

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