出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
惣とも。中世農民の自治的な村落共同組織。鎌倉後期~中世末まで,畿内近国を中心に広く形成された。内部には,地侍・名主・小百姓・下人といった身分的階層差を包みこんでいるが,全体として惣百姓結合を形成する。乙名(おとな)や沙汰人などを指導層として,成員全体が参加する寄合(よりあい)をもち,衆議によって掟が制定され,自検断が行われた。村落の鎮守神を宗教的紐帯(ちゅうたい)として強く結びつき,一味同心して領主の非法を訴えたり,年貢減免を求めての粘り強い交渉,年貢の地下請(じげうけ)の実現などもあった。経済的基盤として山や田地などの惣有地をもち,山野や用水の共同利用においても惣村のはたした役割は大きい。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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…村々の結合による一般的な意味での村連合としての組合村と,1827年(文政10)幕府が関東取締りのために設定した組合村とがある。(1)村連合としての組合村の起源は中世後期の惣村に求めることができよう。太閤検地以降の検地によって村切りなどが行われ,現代の大字程度の小規模な近世村が成立したが,この程度の村では水利や林野の維持・管理を行うことができず,周辺の村々が結合し,協定して再生産を維持する必要が生じた。…
…惣の字は〈すべて〉〈全体〉の意味の国字であるが,中世には自治的な団体や地域に冠して用いることが多い。例えば惣国,惣郷,惣荘,惣村,惣百姓,惣寺(山)などの語があり,それぞれの単位で寄合を持ち,その寄合の構成員の総意によって事を決した。そして中世後期には,その団体や執行機関自体を惣と呼ぶようになった。…
…中世の農村の自治組織の一つ。惣が荘園を単位に,特権的な名主層だけによって構成される段階を特定して呼ぶ場合と,広範な諸階層の百姓によって構成される段階の惣村まで含めて呼ぶ場合とがある。前者は今日の研究者の間で用いられる学術上の概念で,惣荘から惣村への発展,というように用いられ,主として室町期の惣村に対して,鎌倉時代の惣結合をさす。…
…この非族縁的な自律集団の集会は,原則として平等な成員の自治によって運営され,その意志決定は多数決による一味(いちみ)同心,一揆の評定(ひようじよう)として特別の効力をもつものとされた。この寺院の集会のあり方は,同じく非族縁的結合の惣村(そうそん)の意志決定方式,さらには村法の制定にも大きな影響を与えた。 この寺院の集会によって一味同心の法として制定された法は,寺院集団の内部規範としてだけでなく,寺領荘園の法にまで及ぶが,仏の権威をかりつつ王法に対する別の次元の対等の効力をもつ法であると寺院勢力によって主張された。…
…このような郷=村は支配の単位であるとともに,百姓相互の地縁的な共同体,いわゆる村落であった。これが発展して自治的な政治組織をもつようになったのが惣村である。草分け的な百姓である住人が集団で開発したことが契機となって村が形成された場合は惣村に発展しやすい。…
※「惣村」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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