小アジア(読み)ショウアジア(英語表記)Asia Minor

翻訳|Asia Minor

デジタル大辞泉 「小アジア」の意味・読み・例文・類語

しょう‐アジア〔セウ‐〕【小アジア】

Asia Minorアジア西端にあり、トルコの大半部を占める、地中海黒海に挟まれた半島アナトリア

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精選版 日本国語大辞典 「小アジア」の意味・読み・例文・類語

しょう‐アジアセウ‥【小アジア】

  1. ( アジアは[英語] Asia ) アジアの西端に突き出て、地中海、黒海、エーゲ海に囲まれる半島。ヨーロッパバルカン半島と対する。トルコ共和国大部分を占めてアジア‐トルコとも呼ばれる。アジア、ヨーロッパ、アフリカの三大陸の接点にあたり、古来さまざまの文明が栄えた。

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改訂新版 世界大百科事典 「小アジア」の意味・わかりやすい解説

小アジア (しょうアジア)
Asia Minor

アジアの西端に突出した半島で,アナトリア(トルコ語アナドルAnadolu)ともよばれる。古くアジアという地名は漠然と〈東方〉を意味し,最初は現在の小アジアの西部をさして用いられた。ヘロドトス以来,アジアが,少なくともペルシアまでを含めた地名として使われ始めると,これと区別するためにアナトリアをさす小アジアという呼称が生まれた。小アジアという地名が文献に初めて現れるのは,5世紀に著されたスペインの司教オロシウスの《世界史》であるといわれている。
アジア
執筆者:

小アジアでは,すでに前8000年ころから小規模灌漑による農耕文明が栄えていたが,初期の国家としては前17世紀のヒッタイト,前15世紀のミタンニがあげられる。前14世紀に最盛期を迎えたヒッタイトはフリュギア人の侵入に苦しめられ,前800年ころにはフリュギア王国,次いで初めて貨幣を鋳造したことで知られるリュディア王国が前680年ころ建国された。東方の強国アケメネス朝ペルシアが,前547年リュディアを滅ぼし,以後小アジア全域を支配した。前8~前7世紀ころにはギリシア人が植民市を沿岸地帯に数多く建設し,以後ギリシア文明の影響を受けた沿岸部と,昔ながらの農村社会を中心とする内陸部との違いが明瞭となった。自治・自由を理想とする沿岸部のギリシア系ポリスと専制支配をもくろむペルシアとの間で確執が続いた。

 前334年に始まるアレクサンドロス大王の東方遠征の結果,小アジアはペルシアの支配を脱してマケドニアの支配下に入ったが,王の死後,後継者争いを経てセレウコス朝シリアの領土に編入された。この混乱期に各地の有力者が独立し,カッパドキア,アルメニア,ビテュニア,ガラティア,フリュギア,キリキア,ピシディアなどの国や地方に分かれ始めた。セレウコス朝の衰退に伴ってこの傾向はいっそう顕著となり,前3世紀半ばに起こったペルガモン王国とポントス王国とが中でも最も強大となった。前2世紀半ば以降共和政ローマの力がしだいに小アジアにまで及び,前129年旧ペルガモン領に直轄領たる属州アシアが設けられた。一方の雄ポントス王国はローマに抵抗して戦ったが敗れ,前63年ビテュニア・ポントゥス州が設置された。帝政期に入って後1世紀までにはガラティア州,リュキア・パンフュリア州,カッパドキア州が属州として加えられ,小アジア全域はローマ帝国の支配圏内に組み込まれた。前286年ディオクレティアヌス帝の帝国東西分割によって小アジアは東ローマ帝国の中心となり,独自のビザンティン文化を築き上げた。
アナトリア
執筆者:

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旺文社世界史事典 三訂版 「小アジア」の解説

小アジア
しょうアジア
Asia Minor

黒海・地中海・エーゲ海に囲まれ,アジア西部に突出し,バルカン半島と相対する半島の地域。現在トルコ共和国領
この言葉は5世紀からローマ帝国のアジアにおけるプロヴィンキア(属州)の意で使われ,10世紀以後,アナトリアとも呼ばれた。古代以来,ヒッタイト・リディア・ギリシア植民市・アケメネス朝・アレクサンドロス領・ローマ帝国などの支配下にはいり,のちセルジューク朝・オスマン帝国領となった。

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百科事典マイペディア 「小アジア」の意味・わかりやすい解説

小アジア【しょうアジア】

アナトリア

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「小アジア」の解説

小アジア(しょうアジア)

アナトリア

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世界大百科事典(旧版)内の小アジアの言及

【アナトリア】より

…トルコ語ではアナドルAnadolu。小アジアともよばれる。面積約52万5000km2,同国の人口の97%を占める。…

※「小アジア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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