ペルガモン(読み)ぺるがもん(英語表記)Pergamon

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ペルガモン」の意味・わかりやすい解説

ペルガモン
Pergamon

トルコ西部,ミュシアの古代都市遺跡。今日のベルガマ Bergamaにあたる。イズミルの北約 80kmに位置する。少なくとも前5世紀から存在し,前3~前2世紀ペルガモン王国の首都として繁栄(→アッタロス朝)。都市計画に基づいた代表的なヘレニズム都市で,エジプトアレクサンドリア図書館に次ぐ規模の大図書館が置かれた(→図書館)。発掘は 1878年以来ドイツのカール・フーマン,A.コンツェらによって行なわれ,中断しつつ 1938年まで続けられた。丘の上(→アクロポリス)にゼウス祭壇であるペルガモン祭壇アテナ神殿,トラヤヌス神殿,劇場などの遺跡が残され,特にペルガモン祭壇のフリーズを形成する『神々と巨人の戦い』の浮彫破片は著名(→ペルガモン派)。今日,祭壇はドイツのベルリンにあるペルガモン美術館に復元展示されている。ローマ時代に都市は平野部に広がり,ギムナシオンヘラおよびデメーテル聖域があった。ヘレニズム文化の景観をよく残しているとして,2014年世界遺産の文化遺産に登録された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ペルガモン」の意味・わかりやすい解説

ペルガモン
ぺるがもん
Pergamon

トルコ西端、エーゲ海に面した古代のミュシア地方の都市。海岸から約25キロメートル内陸のカイコス川流域に位置し、ヘレニズム時代に繁栄した。現在名はベルガマBergama。紀元前3世紀の、セレウコス朝から独立したアッタロス家の支配以後歴史が始まる。エウメネス2世のとき小アジアの大部分を領有したが、のちローマ領となり、属州アジアの中心となった。アッタロス家諸王はペルガモンの丘陵に壮麗な都市を建設し、頂上のアクロポリスには城壁を巡らし、宮殿、図書館、アテネ神殿、大浮彫りで知られる「ゼウス神殿の大祭壇」が建設され、エジプトのアレクサンドリアと並ぶ大都市となった。美術でもヘレニズム美術を発達させ、とくに『瀕死(ひんし)のガリア人』『ガリア人とその妻』などの彫像はその代表作である。

[糸賀昌昭]


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