家庭医学館 「小児糖尿病の慢性合併症」の解説
しょうにとうにょうびょうのまんせいがっぺいしょう【小児糖尿病の慢性合併症】
合併症は、神経と血管におこりやすく、神経障害、糖尿病性網膜症(とうにょうびょうせいもうまくしょう)、糖尿病性腎症(とうにょうびょうせいじんしょう)が糖尿病の三大合併症です。
これらの合併症は、インスリン依存型糖尿病(いぞんがたとうにょうびょう)とインスリン非依存型糖尿病(ひいぞんがたとうにょうびょう)とを問わず、子どもの糖尿病でも無縁ではありません。
とくに、ホルモン分泌(ぶんぴつ)のバランスの変化や心理面の変動が現われやすい思春期以降からおこりやすくなります。
合併症は、日ごろの血糖管理の悪さが積み重なっておこるもので、糖尿病になった人のQOL(クオリティ・オブ・ライフ。生活の質、生命の質)を低下させます。
これら合併症を予防し、進行を防ぐには、日々の血糖管理をよくすることに尽きます。
■神経障害
足先のしびれやまひ感、足の冷感、便秘、下痢(げり)、顔や額(ひたい)の発汗などがおこってきます。
神経伝導速度検査で診断できます。
■糖尿病性網膜症
視力の低下、見えにくい、めがねが合わなくなる、目の前に黒いものが見えるなどがおこります。進行すると眼底出血(がんていしゅっけつ)をおこし、失明(しつめい)につながります。
眼底検査で診断できます。
■糖尿病性腎症
病気が進行するまでは無症状で、だるい、疲れやすい、足がむくむなどの症状が現われてきたときには、合併症はかなり進行して、やがて腎不全(じんふぜん)におちいります。
尿検査で、アルブミンというたんぱく質の量を調べることで、発症の初期段階で診断できます。