眼底出血(読み)ガンテイシュッケツ(英語表記)(Hemorrhage in the Eye Fundus)

デジタル大辞泉 「眼底出血」の意味・読み・例文・類語

がんてい‐しゅっけつ【眼底出血】

眼底網膜などの血管が破れて出血している状態高血圧動脈硬化糖尿病眼球打撲などで起こる。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「眼底出血」の意味・読み・例文・類語

がんてい‐しゅっけつ【眼底出血】

  1. 〘 名詞 〙 眼底に分布する血管からの出血。眼底検査により診断され、眼球の打撲などのほか高血圧症、糖尿病などが原因することが多い。
    1. [初出の実例]「去年の春頃眼底出血をやったときにも」(出典:氷を割る(1941)〈中勘助〉)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

家庭医学館 「眼底出血」の解説

がんていしゅっけつ【眼底出血 (Hemorrhage in the Eye Fundus)】

◎程度、状態はさまざま
 眼底(コラム「眼底とは」)のどこかの部位が出血した状態を、眼底出血といいます。
 ひとくちに眼底出血といっても、その程度や状態はさまざまで、出血の量や場所、原因疾患によって、ようすをみてよいものから緊急手術が必要なものまであります。
◎眼底出血をおこす病気
 眼底出血をもたらす病気はたくさんあります。したがって、その原因となる病気によって治療法も異なります。
 原因となる病気には、糖尿病網膜症(とうにょうびょうもうまくしょう)(「糖尿病網膜症」)、高血圧性眼底(「高血圧性眼底(高血圧性網膜症)」)、網膜中心静脈閉塞症(もうまくちゅうしんじょうみゃくへいそくしょう)(「網膜中心静脈閉塞症」)などがあげられます。
 加齢性黄斑変性症(かれいせいおうはんへんせいしょう)(「加齢黄斑変性(加齢性黄斑変性症)」)や目の外傷(「目の外傷」)が原因になることもあります。
 裂孔原性硝子体出血(れっこうげんせいしょうしたいしゅっけつ)は、高齢者にみられる後部硝子体剥離(こうぶしょうしたいはくり)にともなって網膜血管が切れて出血するもので、眼底出血をもたらします。網膜剥離をおこすことがあるため、しばしば緊急手術が必要となります。
 網膜細動脈瘤(もうまくさいどうみゃくりゅう)もよくみられる原因疾患です。これは高齢者の網膜動脈に瘤(こぶ)ができるもので、瘤が破れると眼底出血が生じます。レーザー光凝固療法(ひかりぎょうこりょうほう)で対応することがあります。
 コーツ病は、若年男子、あるいは子どもにおこる片眼性(へんがんせい)(どちらか片方の目におこる)の病気で、先天性の異常網膜血管部位から出血したり、網膜剥離をおこしたりします。レーザー光凝固療法や冷凍凝固療法などで治療されます。
 全身性エリテマトーデスベーチェット病サルコイドーシスなどの症状の1つとしておこるぶどう膜炎(「ぶどう膜炎」)も網膜血管炎をおこし、眼底出血をもたらすことがあります。これらの治療には炎症をしずめる薬が使用されます。
 イールズ病は、つまった網膜血管がもとで出血をくり返す病気です。これも眼底出血の原因になります。レーザー光凝固療法や手術で治療されます。
 これらのほかにも、血液疾患などさまざまな原因によって眼底出血がおこることがあります。

出典 小学館家庭医学館について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「眼底出血」の意味・わかりやすい解説

眼底出血
がんていしゅっけつ

網膜出血脈絡膜出血総称で、慣用的には硝子体(しょうしたい)出血も含まれる。なお、眼底出血というのは病名でなく、眼底のいろいろな病気のときにみられる異常所見の一つである。

 網膜はいくつかの種類の神経細胞が複雑に連絡し、それぞれの細胞が規則正しく配列している組織であり、一定の厚みをもっているので、網膜のどの層からの出血であるかによって形が異なってくる。網膜と硝子体との間にある出血は網膜前出血とよばれ、上方が水平な半円形を示す。網膜の表面にある出血は、神経線維の走行に沿って線状あるいは火炎状となる。網膜深層の出血は、線維の走行と細胞の配列が水平方向をとるため、斑(はん)状あるいはしみ状となる。脈絡膜出血は暗赤色を示す。硝子体出血は、網膜出血が硝子体中に波及してくる場合が多い。

 網膜出血の原因でもっとも多いのは、高血圧や動脈硬化と関係の深い網膜静脈閉塞(へいそく)であり、このほか、糖尿病網膜症や高血圧性網膜症などでも、網膜出血がみられる。また、網膜自体の病気としては、結核が疑われるイールズ病Eales's disease(網膜静脈周囲炎)などがある。

[松井瑞夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「眼底出血」の意味・わかりやすい解説

眼底出血
がんていしゅっけつ
ophthalmorrhagia

多くは網膜血管からの出血 (網膜出血) で,視力障害,ことに視野の変化によって気がつくことが多い。若い人では静脈周囲炎,血液疾患などによることが多く,高年者では動脈硬化や糖尿病などに起因する。黄斑が侵されなければ,視力に影響は少い。治療法は原因除去と眼の保護。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「眼底出血」の意味・わかりやすい解説

眼底出血 (がんていしゅっけつ)

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「眼底出血」の意味・わかりやすい解説

眼底出血【がんていしゅっけつ】

網膜出血

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内の眼底出血の言及

【眼底】より

…硝子体の収縮などの変化で容易に網膜に裂孔が生じて網膜剝離(はくり)に進行することがある。
[眼底出血]
 眼底検査は血管を見る検査といっても過言ではない。なかでも出血は各種疾患の重要な所見であり,出血源,出血部位などがそれぞれの疾患の原因,治療,予後を左右する。…

※「眼底出血」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android