展覧会の絵(読み)てんらんかいのえ(英語表記)Kartinki s vystavki[ロシア]
Tableaux d'une exposition[フランス]

精選版 日本国語大辞典 「展覧会の絵」の意味・読み・例文・類語

てんらんかいのえ‥クヮイのヱ【展覧会の絵】

  1. ( 原題[ロシア語] Kartinki s vystavki ) ピアノ曲。ムソルグスキー作。一八七四年発表。一〇枚の絵の標題をもつ曲と、その間をつなぐプロムナードの曲からなる。ラベル編曲管弦楽曲でよく知られる。

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改訂新版 世界大百科事典 「展覧会の絵」の意味・わかりやすい解説

展覧会の絵 (てんらんかいのえ)
Kartinki s vystavki[ロシア]
Tableaux d'une exposition[フランス]

ロシア国民楽派の作曲家ムソルグスキーが1874年に作曲した10曲からなるピアノ組曲。作曲の前年に没した友人の画家ハルトマンの追悼展覧会での印象をもとにつくられた。第2,3,5,7曲の前にプロムナードが置かれ,それは絵と絵との間を歩く情景を表しているといわれる。楽曲は(1)小人,(2)古城,(3)チュイルリ(遊んだ後の子どものけんか),(4)ブイドロ(牛),(5)卵の殻をつけたひなどりのバレエ,(6)2人のユダヤ人(太ったのと瘦せたの),(7)リモージュの市場,(8)カタコンベ,(9)鶏の足の上に建っている小屋,(10)キエフの大門,の構成になっている。色彩感と表現に富むこの作品に対して,多くの管弦楽編曲が試みられたが,1922年,クーセビツキー委嘱J.M.ラベルが行った編曲が最も有名で,オーケストレーション技巧を駆使した色彩豊かで優れた構成感をもつこの編曲は,近代の管弦楽の頂点に位置するものの一つである。
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百科事典マイペディア 「展覧会の絵」の意味・わかりやすい解説

展覧会の絵【てんらんかいのえ】

ムソルグスキーのピアノ組曲。建築家で画家としても知られた友人ビクトル・ハルトマン〔1842-1873〕の死を悼み,その絵を題材にして1874年に作曲された。〈プロムナード〉の旋律で全10曲の小品を結び合わせた独創的な構成の作品で,オペラボリス・ゴドゥノフ》とともにフランス近代の作曲家に多大な影響を与えた。指揮者クーセビツキーの委嘱でM.ラベルがこれを管弦楽用に編曲したもの(1922年。〈プロムナード〉を1ヵ所省略)も傑作。ホロビッツの録音をはじめ,原曲に大幅に手を加えたピアノ演奏も少なくない。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「展覧会の絵」の意味・わかりやすい解説

展覧会の絵
てんらんかいのえ
Картинки с выставки/Kartinki s vïstavki ロシア語
Tableaux d'une exposition フランス語

ロシアの作曲家ムソルグスキーのピアノ独奏のための組曲。1874年作曲。前年に世を去った友人の画家ビクトール・ハルトマンの遺作展が直接の創作動機となった。10枚の絵とそこから受けた印象を個々に描写したもので、これら「こびと」「古城」「キエフの大門」など10の小品に加えて、「プロムナード」と題した前奏が間奏としても幾度か現れて全体に統一性を与える。自然主義的な表現と叙情的な表現が錯綜(さくそう)したロシア民族楽派特有の音楽といえよう。この作品には6通りの管弦楽用編曲があるが、そのなかでもっとも有名なのはラベルによるもの(1922)で、巧みなオーケストレーションによって原作にさらに彩りを添えている。

[三宅幸夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「展覧会の絵」の意味・わかりやすい解説

展覧会の絵
てんらんかいのえ
Tableaux d'une exposition

ロシアの作曲家 M.ムソルグスキーのピアノ組曲。 1874年作曲。 10曲から成り,各曲の前奏や間奏にあたる「プロムナード」が添えられている。原曲のほか M.ラベル,L.カイエ編曲の管弦楽曲が有名。

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デジタル大辞泉プラス 「展覧会の絵」の解説

展覧会の絵〔ラヴェル〕

フランスの作曲家モーリス・ラヴェルがモデスト・ムソルグスキーのピアノ組曲『展覧会の絵』を管弦楽曲として編曲したもの(1922)。原題《Tableaux d'une exposition》。

展覧会の絵〔ムソルグスキー〕

ロシアの作曲家モデスト・ムソルグスキーのピアノ組曲(1874)。ムソルグスキーの代表作の一つ。フランスのラヴェルによる管弦楽編曲版も広く知られる。

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世界大百科事典(旧版)内の展覧会の絵の言及

【ムソルグスキー】より

…虐げられた農民への深い同情と社会の矛盾を告発する数多くの歌曲(《カリストラート》1864,《子守歌》1865,《かわいいサビシナ》1866,《神学生》1866,《みなしご》1868,《人形芝居》1870など)は音楽における批判的リアリズムの代表作とされる。ピアノ曲《展覧会の絵》(1874)は独創的な音画集で,西欧の印象主義に強い影響を与えた。オペラ《ホバンシチナ》など,いくつかの未完の作品が,N.A.リムスキー・コルサコフらの手で補完され,演奏されている。…

※「展覧会の絵」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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