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ロシア出身のアメリカのピアノ奏者。20世紀を代表する巨匠の一人。生地キエフ(現、キーウ)の音楽院を卒業して1922年デビュー、国内で活躍したのち、1925年ベルリンに移って評判を高め、西ヨーロッパ各地に楽旅。1928年のニューヨーク・デビューが大成功を収め、爆発的な人気を博し、早くも不動の地位を築いた。病気のため二度にわたって長期間演奏活動を休止したが、人気はすこしも衰えず、かえって高くなったといわれる。1983年(昭和58)初来日。このときは不調だったが、1986年の再来日で実力の一端を示した。「リストの再来」と称された卓越した技巧に加え、情緒あふれる叙情的表現を得意としており、ショパン、シューマン、スクリャービン、ラフマニノフなどで独自の境地を開いた。
[岩井宏之]
『G・プラスキン著、奥田恵二・奥田宏子訳『ホロヴィッツ』(1984・音楽之友社)』
ロシア出身のアメリカのピアノ奏者。20世紀最高の技巧家として名声をほしいままにした。キエフ音楽院を卒業,1922年にデビュー。25年祖国を去ってベルリンに移り,非常な成功をおさめる。28年のアメリカ・デビューが爆発的な人気を博し,若くして巨匠の仲間入りするに至る。33年トスカニーニの娘ワンダと結婚。40年アメリカに定住,44年市民権を取得。広いレパートリーをもち,スクリャービンのソナタや前奏曲,ショパンのマズルカなどでは独特のロマン的な濃厚な抒情を繰り広げ,一方,ラフマニノフのソナタや練習曲では,けんらん豪華な響きを楽しませるなど個性的な表現力で知られた。83年に初来日したが,さすがの名技巧家も高齢のため,昔日の面影を感知させるにはいたらなかった。
執筆者:岩井 宏之
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