クーセビツキー

百科事典マイペディア 「クーセビツキー」の意味・わかりやすい解説

クーセビツキー

ロシア出身の米国の指揮者,作曲家。モスクワ音楽院に学ぶ。はじめコントラバス奏者として名をなし,母校でもコントラバスの教授を務めた。1908年ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団を振って指揮者としてデビュー。ロシア革命後はパリを拠点に活動し,1921年−1924年〈コンセール・クーセビツキー〉を率いてロシア・オペラや同時代の作品を演奏。1924年渡米し,1924年−1949年ボストン交響楽団の常任指揮者として活躍した。また1942年クーセビツキー音楽財団を設立し,多くの作曲家に新作を依頼。財団設立以前も含め,彼の委嘱によりルーセルの《交響曲第3番》,ストラビンスキーの《詩編交響曲》,バルトークの《管弦楽のための協奏曲》,ブリテンのオペラ《ピーター・グライムズ》,オネゲルの2つの交響曲ほか,コープランドヒンデミットマルティヌーなどの数多くの名曲が誕生している。《展覧会の絵》のラベルによる管弦楽版も,その依頼によって書かれた。1941年米国市民権を取得。自身の作品に《コントラバス協奏曲》(1904年)など。→バーンスタイン
→関連項目コントラバスサンクト・ペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団武満徹ハリスミュンシュ

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改訂新版 世界大百科事典 「クーセビツキー」の意味・わかりやすい解説

クーセビツキー
Serge Alexandrovitch Koussevitzky(Kusevitsky)
生没年:1874-1951

ロシア出身のアメリカの指揮者。モスクワ音楽院に学び,初めコントラバスの名手として知られた。1907年指揮活動に入り,私有楽団を組織して国内で活動したが,革命後パリを中心にヨーロッパ各地で指揮,1924年アメリカに渡り49年までボストン交響楽団の常任指揮者の地位にあり,引退後も各地に招かれた。夫人を記念するクーセビツキー財団を設け,そこでバルトークをはじめ多くの作曲家に委嘱の新作が数多く生み出され,みずからもコントラバス協奏曲を作曲するなど生涯にわたって現代音楽創作に貢献した。その指揮はしばしばスラブ的感性をみせ,西洋音楽が古くからの西欧的枠内にとどまらなくなった時代に,オーケストラの演奏面でその推進力となった。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クーセビツキー」の意味・わかりやすい解説

クーセビツキー
Kusevitskii, Sergei Aleksandrovich

[生]1874.7.26. ビシニボロチョーク
[没]1951.6.4. ボストン
ロシア生れのアメリカの指揮者,コントラバス奏者。モスクワ音楽院に学び,コントラバス奏者として多大の名声を得る。 1908年には指揮者としてデビュー,以来,ベルリンロンドン,モスクワの各交響楽団を指揮。 21年パリにコンセール・クーセビツキーを設立,多くのロシア歌劇,現代音楽を初演。 24~49年ボストン交響楽団常任指揮者をつとめる。クーセビツキー基金を設け,多くの作曲家に新曲を依頼し,後進を育成した。特にアメリカ楽壇への貢献は大きい。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クーセビツキー」の意味・わかりやすい解説

クーセビツキー
くーせびつきー
Sergei Koussevitzky
(1874―1951)

ロシア生まれのアメリカの指揮者。モスクワ音楽院に学び、初めコントラバス奏者として活躍、まれにみる名手と高く評価されたが、1907年から指揮活動を開始。革命後のソ連で短期間活躍ののち、パリを経てアメリカに移住して帰化し、24年から49年までボストン交響楽団常任指揮者。この間、現代音楽の積極的な紹介と育成に尽力し、40年にはバークシャー音楽祭を創始。コントラバスのための作品もいくつか残している。

[岩井宏之]

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世界大百科事典(旧版)内のクーセビツキーの言及

【コントラバス】より

…室内楽ではシューベルトの五重奏曲《鱒》,またこの楽器のユーモラスな一面をとらえたサンサーンスの《動物の謝肉祭》の中にある〈象〉もおもしろい。指揮者のクーセビツキーはコントラバス奏者でもあり,自作にコントラバス協奏曲のほか《シャンソン・トリステ》や《小さなワルツ》などの小品もある。【江口 朝彦】。…

※「クーセビツキー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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