日本大百科全書(ニッポニカ) 「山城(京都府)」の意味・わかりやすい解説
山城(京都府)
やましろ
京都府南東部、相楽郡(そうらくぐん)にあった旧町名(山城町(ちょう))。現在は木津川市(きづがわし)の中央北部を占める一地区。旧山城町は1956年(昭和31)上狛(かみこま)町と棚倉(たなくら)、高麗(こうらい)の2村が合併して成立。2007年(平成19)木津、加茂(かも)の2町と合併し、市制施行して木津川市となる。西は木津川に沿って小平地が開け、東は洪積(こうせき)丘陵と400メートル前後の山地からなる。山地を侵食して木津川に注ぐ小河川は天井川をなし、1953年には氾濫(はんらん)して水害を生じた。JR奈良線、国道24号が南北に通じ、南端を国道163号が走る。蔬菜(そさい)栽培が盛んで、また茶の産地としても知られる。大和(やまと)(奈良)に近く上狛、高麗などの地名が示すように、高麗系の渡来人によって開拓が始まり、渡来人の氏寺として白鳳(はくほう)時代に創建された高麗寺跡(こまでらあと)(国の史跡)がある。奈良時代に建立された蟹満寺(かにまんじ)には国宝の釈迦如来坐像(しゃかにょらいざぞう)があり、神童寺の本堂、松尾神社本殿、小林家住宅など国指定重要文化財も多い。涌出宮(わきでのみや)の宮座行事は国指定重要無形民俗文化財。また前方後円墳の椿井(つばい)大塚山古墳(国の史跡)など多くの古墳が残されている。
[織田武雄]
『『千秋万古の山城町』(1975・山城町)』▽『『山城町史』全2巻(1987~1990・山城町)』