木津川(市)(読み)きづがわ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「木津川(市)」の意味・わかりやすい解説

木津川(市)
きづがわ

京都府南部にある市。2007年(平成19)相楽(そうらく)郡木津加茂(かも)、山城(やましろ)の3町が合併して市制施行、木津川市となる。市域は京都・大阪の中心部から30キロメートル圏内にあり、北から東は綴喜(つづき)郡井手(いで)町、相楽郡和束(わづか)町、笠置(かさぎ)町、西は同郡精華(せいか)町、南は奈良県奈良市と接する。北部と南東部に緩やかな山地が連なり、その間を木津川が流れ、流域に平野が広がる。同川は3世紀ごろから交通路として利用され、淀川に合流して瀬戸内と結ばれていた。奈良時代、木津は平城京などの都城建設用木材の陸揚げ港で、水陸交通の接点として栄え、商業地も形成されていた。市名はこの木津に由る。聖武天皇は740年(天平12)、都を平城京から恭仁(くに)京(加茂町地区)に遷し、当地は約4年間都であった。

 その後、当地域は奈良と京都、伊勢、伊賀とを結ぶ街道の要衝として発展。また宇治茶やタケノコなどの主産地として名声を高め、京都、大坂ほか諸都市への農産物供給地として栄えた。江戸時代には木津川の治水事業や農地の拡大などが進められ、立地は現在に近い姿となった。明治時代、水運は衰退し、鉄道や道路の整備が進められた。現在、JR奈良線と近鉄京都線、国道24号が南北に通じ、JR関西本線、国道163号が東西に走る。昭和60年代以降、旧木津町において京都・大阪・奈良3府県にまたがる関西文化学術研究都市(けいはんな学研都市)の建設が進められた。JR片町線は学研都市線の愛称が使用され、先進的な研究施設が設けられた。現在、市域は京都、大阪、奈良のベッドタウンとして人口が急増する一方、茶の栽培、集散加工など大都市近郊の立地条件を生かした近郊農業も盛んである。面積85.13平方キロメートル、人口7万7907(2020)。

[編集部]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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