中国,華北平原より,東北東に黄海へ突出する半島。膠東(こうとう)半島ともいう。対岸にも遼東半島が突出し,渤海海峡を形成して,黄海より渤海を区画する。構造的には遼東半島を形成する北東~南西走向の山地と連続し,海峡では廟島群島となる。基部の萊州湾・膠州湾の間で幅約140km,先端の成山角まで約300km。基部は沖積平野となり,両湾は膠萊河と運河で結ばれるが,半島の大部分は,最高800~900mの,大沢山,昆山などの丘陵地をなす。したがって半島の周囲は上記の両湾のほか,嶗山湾,丁字港,竜口湾等大小の湾岸となり,天然の良港を形成する。
古代には秦の始皇帝が半島の北東端,芝罘(チーフー)島(烟台)へ登って東海を望み,漢の武帝が東巡して登州より海上に蓬萊を見たといわれるように,華北文明の東端であり,海を隔てた東北・朝鮮地方との交通の拠点であった。特に半島の北側にある登州,萊州は秦・漢時代より発達した港湾都市であった。唐・宋時代になり,江南との交通に海運が利用され,また南海との貿易船も直接華北を訪れるようになると,半島がその中継基地となり,登州,萊州のほか,南側でも板橋鎮(膠州)に市舶司が置かれるなど発達した。したがって明代には倭寇の攻撃目標となり,各港は大きな被害を受けた。また近代には列強の侵略拠点となり,芝罘,威海衛,青島等の開港場が開かれた。
執筆者:秋山 元秀
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中国、山東省東部の半島。北の莱州(らいしゅう/ライチョウ)湾と南の膠州(こうしゅう/チヤオチョウ)湾とを結ぶ膠莱河河谷より北東に延びる。北東の遼東(りょうとう/リヤオトン)半島とともに北の渤海(ぼっかい/ポーハイ)と南の黄海(こうかい/ホワンハイ)とを分ける。最高点は青島(チンタオ)東方の嶗(ろう)山(1130メートル)で、煙台(えんだい/イエンタイ)南東の崑(こんゆ)山(923メートル)、莱陽(らいよう/ライヤン)北方の艾(がい)山(818メートル)を除けば、標高ほぼ500メートル以下の起伏の緩やかな花崗岩(かこうがん)質の丘陵が続く。丘陵の間には狭い山間盆地がみられる。海岸線は複雑で、溺れ谷(おぼれだに)や湾が多い。そのため、青島、煙台などの良港や漁港が発達している。半島の北側は冬には季節風の影響を受け、低温にみまわれることが多いが、南側は温暖で、嶗山などは保養地とされる。全体に華北地区では比較的湿潤な気候を示す。小麦、トウモロコシを主体にした一年二作制が可能で、ナシ、リンゴなどの果樹やラッカセイ、ハクサイを栽培、柞蚕(さくさん)の繭は特産である。膠州湾岸をはじめ沿岸部では製塩場も発達する。
[駒井正一]
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