遼東半島(読み)リョウトウハントウ

デジタル大辞泉 「遼東半島」の意味・読み・例文・類語

りょうとう‐はんとう〔レウトウハンタウ〕【遼東半島】

中国、遼寧りょうねい省南東部、渤海ぼっかい黄海との間に突出する半島。中心都市は大連。1895年に下関条約で日本に割譲されたが、三国干渉で清国に還付。1905~1945年南端部が日本の租借地とされ、関東州とよばれた。リアオトン半島。

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精選版 日本国語大辞典 「遼東半島」の意味・読み・例文・類語

りょうとう‐はんとうレウトウハンタウ【遼東半島】

  1. 中国遼寧省南部、黄海と渤海(ぼっかい)の間に突き出た半島。千山山脈脊梁(せきりょう)をなし、海岸線出入に富む。大連、旅順などの良港がある。

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百科事典マイペディア 「遼東半島」の意味・わかりやすい解説

遼東半島【りょうとうはんとう】

中国,東北地区の南部,渤海海峡を隔てて山東半島に対し,渤海を擁する半島。長白山脈の一支脈たる千山山脈が南に延びて波状準原をなし,丘陵地(平均標高400m)が多い。南部の長大鉄路(長春〜大連)沿線は中国有数のリンゴの産地で,半島丘陵部は中国一の柞蚕(さくさん)の産地。沿海の長山列島は中国東北地区最大の漁場で,タチウオ,グチ,クルマエビなどがとれ,水産養殖も盛ん。また,旅順西方の小竜島(蛇島)は薬用のマムシが多く生息し,自然保護区となっている。半島西海岸は中国の四大塩田地帯の一つ。半島先端部に位置する大連市は東北地区最大の対外貿易港で,港湾貨物取扱量は上海に次ぎ全国第2位。1895年下関条約で日本に割譲,三国干渉により同年清に還付。1898年ロシア関東州を租借。日露戦争後1905年日本は租借権を継承。第2次大戦後はソ連軍が占領・管理。1950年中国に返還。1955年から開発整備が進行した。
→関連項目廟島群島竜口遼寧[省]

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改訂新版 世界大百科事典 「遼東半島」の意味・わかりやすい解説

遼東半島 (りょうとうはんとう)
Liáo dōng bàn dǎo

中国東北地区,遼寧省南部の半島。山東半島と相対し,渤海と東シナ海(東海)を隔てる。北限は遼河と鴨緑江の河口を結んだ線とされる。千山山脈が半島を貫き,長期にわたる侵食で低い丘陵となっている。トウモロコシ,稲などの穀類のほか,リンゴの産出とサクサン(柞蚕。カイコの一種)の飼育で知られ,また沿海には島が多く,漁業が盛ん。海岸では製塩も盛ん。半島先端に大連市があり,東北最大の貿易港で,また海軍基地もある。
執筆者: この半島は歴史的に近代日本と深いかかわりをもった。1895年日清戦争に勝利した日本は講和交渉で清国政府に遼東半島の割地を要求し認めさせたが,ロシア,フランス,ドイツの3国の干渉をうけて放棄した(三国干渉)。その後1898年3月ロシアが清国から同半島を租借した。1905年日露戦争に勝利した日本はポーツマス条約,日清条約によりロシアの半島租借権をうけつぎ関東州と命名,15年対華二十一ヵ条要求で租借期限を99年に延長させた。日本は旅順に関東都督府,ついで関東庁を設置して関東州を統治し,南満州鉄道株式会社(満鉄)とともに敗戦まで日本の中国進出のための橋頭堡となった。
関東州
執筆者:

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「遼東半島」の意味・わかりやすい解説

遼東半島
りょうとうはんとう / リヤオトンパンタオ

中国、遼寧(りょうねい/リヤオニン)省南部の半島。遼河(りょうが)旧河口の遼河口と鴨緑(おうりょく)江河口部を結んだ線より南にあたり、黄海と渤海(ぼっかい)の間に突出している。千山山脈が半島の脊梁(せきりょう)をなすが、長期にわたる侵食により丘陵化している。海岸は曲折に富み、沿岸部には長山群島をはじめ多くの島々が浮かぶ。農産物としてはトウモロコシ、米、コウリャンアワ、大豆、綿花などのほか、丘陵斜面を利用した広いリンゴ園があり、また東部では柞蚕糸(さくさんし)の生産が多い。沿岸は水産業が盛んで、長山群島は好漁場として知られる。海岸部では天日製塩も盛んである。金県以南は旅大(りょだい/リュイター)半島(日本占領時代は関東州)とよばれるが、とくに湾入に富み、大連(だいれん/ターリエン)と旅順(りょじゅん/リュイシュン)の2港がある。旅順は海軍基地で、かつてロシア、日本が支配していた時代も軍港であった。大連は中国の代表的な貿易港の一つで、重化学工業も発達し、外国との合併企業も多く立地し、大慶(たいけい)油田などの原油の積出し港でもある。

[河野通博]

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「遼東半島」の解説

遼東半島(りょうとうはんとう)
Liaodong

中国,東北南部の渤海(ぼっかい)湾に突出する半島。漢では遼東部,唐では遼州,遼では東京道,金では東京路,元,明,清では遼陽に属する。1895年下関条約により日本に割譲されたが,三国干渉によりただちに中国に返還される。96年,ロシアはその南部の旅順大連を租借,1905年日露戦争の結果,日本がその租借権(いわゆる関東州)を継承したが,45年中国に返還された。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「遼東半島」の解説

遼東半島
りょうとうはんとう

リアオトン半島。中国東北部遼寧省南部にあり,南西に向かって黄海・渤海に突き出している半島。1895年(明治28)日清講和条約で日本に割譲されたが,三国干渉の結果,日本はこれを放棄した。日本にかわりロシアが東清鉄道条約および98年の旅順・大連租借条約により,半島租借権を得て要塞・軍港を築いた。しかし日本は日露戦争でこれらの要塞・軍港を占領し,1905年の日露講和条約および満州に関する日清条約により租借権を継承,15年(大正4)の対華二十一カ条の要求で租借期限を99年間に延長した。関東州とよばれ,関東都督府および関東庁の管轄下におかれた。第2次大戦の日本の敗戦により,中国に返還された。

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旺文社日本史事典 三訂版 「遼東半島」の解説

遼東半島
りょうとうはんとう

中国東北地方南部の遼寧 (りようねい) 省にある半島
日清戦争(1894〜95)の結果,日本が獲得したが,三国干渉によって還付。しかし '98年ロシアはこの半島にある大連・旅順を租借し,その後日露戦争(1904〜05)の結果,ポーツマス条約でこの半島におけるロシアの権利が日本に譲られた。日本は関東州とし関東庁を設置し,経営に乗り出した。第二次世界大戦後,ヤルタ協定により,旅順にソ連の軍事基地があったが,'50年中国に返還された。

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旺文社世界史事典 三訂版 「遼東半島」の解説

遼東半島
りょうとうはんとう

中国北東部,渤海 (ぼつかい) と黄海の間に突き出した半島
渤海をへだてて相対する山東半島を通して,古くから中国人の勢力が浸透した。1895年の下関条約で全域が日本に割譲されたが,三国干渉により清に還付された。1898年にロシアが半島南部の関東州を租借したが,日露戦争後,1905年のポーツマス条約で日本が代わって租借権を得た。第二次世界大戦後はソ連をへて中華人民共和国に返還され,現在は遼寧省に属する。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「遼東半島」の意味・わかりやすい解説

遼東半島
りょうとうはんとう

「リヤオトン(遼東)半島」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の遼東半島の言及

【関東州】より

…遼東半島(現,中国遼寧省旅大地区)にあった日本の租借地。関東州の地名は山海関の東を意味し,遼東半島の旧ロシア租借地に日本が名付けたもの。…

【三国干渉】より

…1895年4月23日,下関条約による日本の遼東半島割取要求に対し,ロシア,ドイツ,フランスが東洋艦隊の武力を背景に清国への還付を勧告した干渉事件。日清戦争の結果,日本が清国の心臓部に分割の刃をむけることがわかったとき,列強は日本とともに即時清国分割に着手するか否かの選択にせまられた。…

【下関条約】より

…1895年4月17日,日本側は伊藤博文,陸奥宗光,清国側は李鴻章,李経方を全権とし,下関の春帆楼の会談により調印され,5月8日発効した。この条約により,(1)清国は朝鮮が完全無欠な独立自主の国であることを確認する,(2)遼東半島,澎湖島,台湾を日本に割譲し,(3)軍費賠償金として庫平銀2億テール(邦貨約3億円)を支払う,(4)沙市・重慶・蘇州・杭州の開市と,開市・開港地における製造業従事権の承認,(5)日清修好条約をヨーロッパ諸国と同じ条件で結ぶこと,を定めた。条約は,第1に清国の朝鮮に対する宗主権を否定して日本が朝鮮に進出する道を開き,第2に琉球の帰属に最終的な結論を出し,第3に相互に領事裁判権をもつ日清修好条規の変則的平等関係を変革した。…

※「遼東半島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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