煙台(読み)エンタイ

デジタル大辞泉 「煙台」の意味・読み・例文・類語

えんたい【煙台】

中国山東省、山東半島北部の港湾都市渤海ぼっかい湾に臨み、明代に倭寇わこう来襲を知らせるのろし台が建てられた。ぶどう酒を産する。旧称芝罘チーフーイエンタイ

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精選版 日本国語大辞典 「煙台」の意味・読み・例文・類語

えんたい【煙台】

  1. 中国山東省、山東半島の北岸にある都市遼東半島と相対し、渤海湾入り口を抑える軍事上の要地。明代には、倭寇の来襲を告げるのろし台がおかれていた。イエンタイ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「煙台」の意味・わかりやすい解説

煙台
えんだい / イエンタイ

中国、山東(さんとう)省東部、山東半島北東部の地級市。煙台の名は、明(みん)代に倭寇(わこう)来襲を知らせるために建てられたのろし台に由来する。1983年に地級市となった。人口653万4000(2014)。4市轄区、1県を管轄し、蓬莱(ほうらい)、莱州(らいしゅう)、莱陽(らいよう)、竜口(りゅうこう)など7県級市の管轄代行を行う(2016年時点)。渤海(ぼっかい)湾の入口にあり、黄海(こうかい)に臨み、北は遼東(りょうとう)半島と対面している。また、芝罘(チーフ)半島と崆峒(こうとう)島とが取り囲んでいるため、山東半島屈指の良港をなし、漁業基地として発展している。鉱物資源も豊富で、金の埋蔵量、生産量ともに国内1位を誇る。

 もとは地元の一漁港にすぎなかったが、1858年の天津(てんしん)条約によって、のちに青島(チンタオ)、大連(だいれん)が開港されるまで、外国貿易港として山東唯一の門戸を開いた。1984年には沿海対外開放14都市の一つに選ばれた。陸路では膠済(こうさい)線(青島―済南(さいなん))の藍村(らんそん)駅から藍煙線が通じているほか、2016年10月には高速鉄道の青栄城際鉄道(青島―栄成(えいせい))が全線開通した。工作機械付属品、トラクター部品工場などがあり、水産加工コンビナートは、渤海湾から水揚げされる水産品を一貫加工・処理している。近年は水産業、観光・サービス産業等を経済成長の柱とし、韓国や日本からの投資を誘致している。

 清(しん)代光緒(こうしょ)年間(1875~1909)に建てられた張裕(ちょうゆう)醸酒公司(コンス)以来のぶどう醸酒工場の赤ぶどう酒は、全国的名酒として知られている。煙台リンゴ、煙台サクランボは特産である。

[駒井正一・編集部 2017年1月19日]

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