三次市(読み)ミヨシシ

デジタル大辞泉 「三次市」の意味・読み・例文・類語

みよし‐し【三次市】

三次

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本歴史地名大系 「三次市」の解説

三次市
みよしし

面積:二五〇・六四平方キロ

中国山脈南麓に形成された広島県北部の三次盆地に立地。標高一五五メートル前後の市街地を中心に、南は二〇〇メートル前後の丘陵に、北は三五〇メートル前後の山に囲まれ、樹枝状によく開析された地形。南西方の山県郡から流れ出る可愛えの川、北東方の比婆郡から流れ出る西城さいじよう川、北方からの神之瀬かんのせ川、東南方の世羅郡から流れ出る馬洗ばせん川の各河川が三次市の中心部で巴をなして合流し、ごうの川となって北流し島根県江津ごうつ市で日本海に流出する。三次市は瀬戸内海に接する広島市と福山市のいずれからもおよそ六〇キロ隔たった内陸に位置しており、県北の中心都市としての役割を果す。また幾つかの鉄道・国道が三次を結節点に山陽と山陰を結んでおり、その交通上の機能も高い。

三次市は近世以前の三次郡の一部を中心に三谿みたに郡と高田郡の一部を加えて成立している都市で、三次は「出雲国風土記」飯石いいし(現島根県)の項に「三次の郡なる三坂に通るは、八十里なり。径常ニあり」とみえる。また平城宮出土木簡に「備後国三次郡下三次里人」と書かれたものがある。「和名抄」刊本は三次に「美与之」の訓をつけるが、「延喜式」神名帳の武田本などには「ミスキ」の訓もある。三次を「みよし」と読むことについて「芸藩通志」は「当郡の郷名、上次・播次・下次とあり、此三次を以て郡名とせられしなるべし、但、次をよしと訓ずる義いまだ詳ならず」としている。中世の諸文献には三吉の字をあてるものが多いが、三好・三善もみられる。近世三次藩初代藩主浅野長治が寛文四年(一六六四)五月二二日「従家綱公御領知之御判物四月五日の御日付御頂戴、此節三吉を三次に御改有之」(鳳源君御伝記「三次分家済美録」所収)、以後は三次とされ、現在に至る。

〔原始・古代〕

三次市は広島県で最も埋蔵文化財分布の濃厚な所とされる。二万―二万三千年前と推定される地層から石刃・剥片の出土した西酒屋にしさけや町の下本谷しもほんだに遺跡や、縄文早期の押型文土器を伴う竪穴住居跡の発見されたまつさこ遺跡群もあるが、遺跡が急激に増えるのは弥生時代中期以降で、その多くは沖積平地に舌状に突出する低い丘陵地帯に分布している。弥生時代の主な遺跡は、同時代前期から古墳時代前期にかけての共同墓地とみられる方形台状墓二基と、溝による区画を有する墓域五ヵ所に三五〇基近くの墓が発見された十日市とおかいち町の花園はなぞの遺跡(国指定史跡)。同じく弥生時代中期の土器を検出し、土壙三基をもつ四隅突出の様相を示す方形墓が発見された南畑敷みなみはたじき町の宗祐池西むねすけいけにし遺跡、弥生土器片とともに木炭片や鉄滓片が検出され、弥生時代の鍛冶関係の作業場跡とされている十日市町の高平こうびら二号住居跡、多彩な土器が出土した弥生時代中・後期の住居群大田幸おおだこう町の塩町高校しおまちこうこう遺跡などがある。


三次市
みよしし

2004年4月1日:三次市と双三郡君田村布野村・作木村・三良坂町吉舎町・三和町、甲奴郡甲奴町が合併
【君田村】広島県:双三郡
【布野村】広島県:双三郡
【作木村】広島県:双三郡
【三良坂町】広島県:双三郡
【吉舎町】広島県:双三郡
【三和町】広島県:双三郡
【三次市】広島県
【甲奴町】広島県:甲奴郡

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「三次市」の意味・わかりやすい解説

三次〔市〕
みよし

広島県北部にある市。北西端を島根県と接する内陸都市で,県北の政治,経済,文化の中心地。市域北部を中国山地が,中央部を三次盆地が,南部を吉備高原がそれぞれ占める。中心市街地の十日市付近で江川(→可愛川)と神野瀬川(かんのせがわ),馬洗川(ばせんがわ),西城川が合流する。1954年三次町,十日市町の 2町と酒河村,河内村,和田村,神杉村,田幸村,粟屋村の 6村が合体して市制。1956年川地村,1958年川西村をそれぞれ編入。2004年甲奴町,吉舎町,三良坂町,三和町,君田村,布野村,作木村と合体。古くから山陽地方と山陰地方を結ぶ交通の要衝で,中心市街地の三次は江戸時代には広島藩支藩の城下町,十日市は出雲街道宿場町および市場町として発展した。山あいには発電所が点在し,畜産,米作,林業が行なわれる。低地および丘陵地では米作,果樹栽培,和牛飼育が盛ん。三次盆地には工業団地があり,自動車部品,医薬品,木材加工,食品加工などが行なわれている。浄楽寺・七ツ塚古墳群,花園遺跡,矢谷古墳,寺町廃寺跡は国の史跡,旙山家住宅,奥家住宅は国の重要文化財に指定されている。神野瀬川上流にある神之瀬湖とその周辺の渓谷は神之瀬峡県立自然公園に属する。JR芸備線,三江線福塩線の鉄道および国道54号線と 375号線,183号線,184号線が通り,中国縦貫自動車道中国横断自動車道インターチェンジがある。面積 778.18km2。人口 5万681(2020)。

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