平取(読み)びらとり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「平取」の意味・わかりやすい解説

平取(町)
びらとり

北海道中南部日高(ひだか)振興局管内の町。1954年(昭和29)町制施行。町名アイヌ語「ピラ・ウトル」(崖(がけ)の間の意)の転訛(てんか)。日高一の長流沙流川(さるがわ)と、支流の貫気別(ぬきべつ)川、額平(ぬかびら)川の河谷に集落が散在する。沙流川流域の下流部には国道237号利用のバス便がある。基幹産業は農業で、水稲を中心とするが、トマト、キュウリなどの野菜栽培や酪農、肉牛飼養をとり入れた複合経営が多い。林業も行われる。日高アイヌのふるさとといわれ、二風谷(にぶたに)、荷菜(にな)、紫雲古津(しうんこつ)の集落がある。二風谷ダムが建設された(1997年完成)二風谷地区を中心にアイヌ文化の保存が図られ、二風谷アイヌ文化博物館がある。面積743.09平方キロメートル、人口4776(2020)。

[柏村一郎]

『『平取町史』(1974・平取町)』


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改訂新版 世界大百科事典 「平取」の意味・わかりやすい解説

平取[町] (びらとり)

北海道南部,日高支庁沙流(さる)郡の町。人口5596(2010)。地名は,沙流川の下流側と上流側に2本の〈ピラ・ウトゥ・ナイ(崖の・間の・川)〉があり,その間の集落を〈ピラウトゥ〉と呼んだことに由来するとみられる。日高山脈に源を発する沙流川中流に位置し,森林が町域の大半を占める。沙流川とその支流の河谷沿いに集落が点在する。早くからアイヌと和人交易が行われたが,1869年(明治2)仙台藩の支配地となり,翌年140余人が初めて入植した。本格的な開拓は81年ころから始まり,牛馬の牧畜業を営む者が多かった。その後畑作水田も増え,日高一の米どころとして発展した。アスパラガス,トマトなどの野菜栽培,畜産も盛んである。日高アイヌの故郷ともいわれ,とくに沙流川沿いの二風谷(にぶたに),荷菜(にな),紫雲古津(しうんこつ)はアイヌの多い集落として知られる。二風谷には二風谷アイヌ文化博物館,萱野茂二風谷アイヌ資料館がある。
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百科事典マイペディア 「平取」の意味・わかりやすい解説

平取[町]【びらとり】

北海道南部,沙流(さる)郡の町。沙流川中流部を占め,米,トマト,キュウリ,木材を産する。南部の中心集落平取は日高アイヌの故郷といわれ,その奥の二風谷(にぶたに)にはアイヌ文化資料館がある。743.09km2。5596人(2010)。→アイヌ

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