沙流川(読み)サルガワ

デジタル大辞泉 「沙流川」の意味・読み・例文・類語

さる‐がわ〔‐がは〕【沙流川】

北海道中南部を流れ、太平洋に注ぐ川。日高山脈に源を発する。上流にはエゾマツトドマツ原生林がある。長さ104キロ。

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日本歴史地名大系 「沙流川」の解説

沙流川
さるがわ

日高山脈日勝につしよう峠付近に源を発し、同山脈南麓の日高支庁日高町平取びらとり町・門別もんべつ町を流下する一級河川。流路延長一〇三・八キロ(指定区間八八・三キロ)、流域面積一三五〇平方キロ(うち山地一一八六・四平方キロ、平地一六三・六平方キロ)。上流でウエンザル川・パンケヌシ川を合せたのち日高町字千栄ちさか千呂露ちろろ川を合流、さらに日高町市街を流れて岩内いわない川を、平取町に入って仁世宇にせう川を合流する。その後同町の荷負におい市街で額平ぬかびら川を合流、さらに看看かんかん川・アベツ川などの支流を合せ、平取町市街を流れ、門別町富川とみかわで太平洋に注ぐ。沙流川は「シシムカ」という別称を有しており、「古名」あるいは「昔の名」といわれることが多い。久保寺逸彦編「アイヌ語・日本語辞典稿」では「カムイレヘ」すなわち「大抵は雅語で詩歌や祈祷に使はれ日常使はぬ単語。神名。神称」の代表例としてあげられている。「シシムカ」の名称は「小鯱の神の自叙」(久保寺逸彦「アイヌ叙事詩神謡・聖伝の研究」)、「大空に描いたコタン(「萱野茂のアイヌ神話集成」)などのカムイユカ(神謡)をはじめ、様々な口承文芸のなかに登場する。

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百科事典マイペディア 「沙流川」の意味・わかりやすい解説

沙流川【さるがわ】

北海道中南部の川。長さ104km,流域面積1350km2日高山脈の西側に発し,南西に流れ,平取(びらとり)町を経て両岸河岸段丘を形成し,門別町(現・日高町)西部で太平洋に注ぐ。川沿いに日勝道路が通じ,流域は木材の多産地。江戸時代はサルベツともよばれ(《東蝦夷日誌》),沙流アイヌの中心地であった。17世紀に松前藩が砂金採取を行った。
→関連項目日高[町]平取[町]門別[町]

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改訂新版 世界大百科事典 「沙流川」の意味・わかりやすい解説

沙流川 (さるがわ)

北海道南部,日高支庁を流れる川。日高山脈北部の日勝峠付近に源を発し,南西流して日高町富川で太平洋に注ぐ。幹川流路延長104km,全流域面積1350km2。上流部では深い谷を刻み,蛇行しているが,日高町の北側町域北部付近からは緩やかに流れ,河岸段丘が両岸に発達している。日高電源開発の一翼を担っており,日高,岩知志,平取などの発電所がある。源流部のトドマツ,エゾマツを主とする原始林は1970年天然記念物に指定された。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「沙流川」の意味・わかりやすい解説

沙流川
さるがわ

北海道南部を流れる川。日高山脈北部にある日勝峠付近に源を発し,南西へ流れて千呂露川 (ちろろがわ) ,額平川 (ぬかびらがわ) などの支流と合流,日高町の門別で太平洋に注ぐ。全長 91km。上流域は林業が盛んで,源流付近のエゾマツ,トドマツを主体にダケカンバを交えた原生林 (7.43km2) は国の天然記念物に指定。中流に岩内ダム (1958完成) がある。平取町から谷底平野が開け,下流域では米作酪農が行なわれる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「沙流川」の意味・わかりやすい解説

沙流川
さるがわ

北海道日高(ひだか)振興局管内第一の長流。一級河川。日高山脈北部に源を発し、日高町北東部、平取(びらとり)町を南西流して日高町南西部の富川(とみかわ)地区で太平洋に注ぐ。全長104キロメートル。流域面積1350平方キロメートル。中・下流域は狭長な谷平野が続き、水田地帯をなし農村が展開する。発電用の岩知志(いわちし)ダムを含む中・上流域は峡谷も多い。川沿いに走る日勝(にっしょう)道路(国道237号・274号)は日勝峠によって日高山脈を横断、十勝(とかち)に至る主要交通路となっている。なお、旧国鉄富内(とみうち)線はバスに転換されている。

[柏村一郎]

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