平良村(読み)てーらむら

日本歴史地名大系 「平良村」の解説

平良村
てーらむら

[現在地名]那覇市首里平良町しゆりたいらちよう一―二丁目・首里大名町しゆりおおなちよう一―三丁目

西原にしばる間切の西部の丘陵、平良たいら(現安謝川)の右岸に位置し、西は末吉しーし村、北は浦添うらしー間切沢岻たくし(現浦添市)、南は首里。南部には耕地が展開する。中頭方西海道の首里から浦添方面への交通の要衝にあり、南にある太平たいへい(平良橋)は西原間切と首里との境界であった。旅の安全を願って謡われていた「ヤラシイグワイナ」(クェーナ)に「平良ふな」(平良・大名)が謡われている。太平橋は万暦二五年(一五九七)に木橋から石橋に改修するとともに取付道路の石畳化が行われた(浦添城の前の碑)。「おもろさうし」巻一二の四五に「一 たいらのとのゝ なよら(平良の殿が踊らば)/くすくのあちのこねら(ぐすく〔首里城〕の按司が舞わん)/ゑけ しまよせせるむ(エケ 島寄せのオモロ)/又 しよりのみやに なよら(首里城の庭で踊らん)/くすくのみやに こねら(ぐすくの庭で舞わん)/又 あんしやあちとなよら(按司は按司と踊ろう)/けすわけすと こねら(下司は下司と舞おう)」とみえる。


平良村
てーらむら

[現在地名]豊見城平良たいら

渡嘉敷とうかしち村の東にある。南隣の高嶺たかんみ村と併称してテーラ・タカンミという。「おもろさうし」巻二〇の三八に「一 うらさきの たいらに(浦崎の平良に)/つゝみ うちちへ あすへは(鼓を打ってあそぶと)/ゑのし たいらし さらめ(ゑのし平良子である)/又 さきよたの たいらに(崎枝の平良で)」とみえる。「崎枝」は岬を意味している。平良は今日では内陸にあり、「うらさきの たいら」が当地にあたるとすれば、オモロ時代にはもっと海辺に近かったのだろうか。絵図郷村帳・琉球国高究帳・「琉球国由来記」のいずれにも豊見城とうみぐすく間切平良村とみえる。高究帳では高頭一四〇石余、うち田九三石余・畠四七石余。


平良村
てーらむら

[現在地名]東村平良たいら

太平洋に面し、平良てーら湾の湾奥に位置する。南は慶佐次ぎさし村。現在の大宜味おおぎみ村にあたる東シナ海塩屋しおや湾に近いため、古くから太平洋と東シナ海を結ぶ交通の要所である。東隣の川田かーた村と併称され、カータ・テーラとよばれる。初め国頭方名護なぐ間切に属していたが、康熙一二年(一六七三)久志くし間切が新設された時に同間切に編入(「球陽」尚貞王五年条など)。同三四年に大宜味いぎみ間切に編入されたが、同五八年に不便を理由に久志間切に戻された(同書尚敬王七年条)


平良村
たいらむら

[現在地名]上甑村平良

中甑島に位置し、一島一村。平村とも記された。北はなか島を間にして上甑島南西藺牟田いむた瀬戸を隔て下甑島。中島と中甑島の間は「くしの渡り」と称し、干潮時は歩渡り、満潮時は小船で出入りしたという(元禄国絵図)。寛文四年(一六六四)の郡村高辻帳では上甑島のうち。元禄国絵図には上甑村のうちとして平村とみえる。享保一〇年(一七二五)の竿次帳写(原口虎雄筆写本)によれば田二町九反余・畠三町三反余・屋敷二町一反余、惣合籾大豆一四二俵余。


平良村
てーらむら

[現在地名]大里村大里おおざと

西原にしばる村の西にある。絵図郷村帳には島添大里しましーうーざとう間切平良村とみえるが琉球国高究帳には記載がなく、「琉球国由来記」に大里うーざとう間切平村とみえる。同名村が豊見城とうみぐすく間切・西原にしばる間切・久志くし間切、具志川ぐしちやー間切(現具志川市)羽地はねじ間切(のち田井等村)にある。前掲高究帳では南風原ふえーばる村の高頭四五一石余に含まれていると思われる。間切集成図によると当村の西から「なん川原」が発し、南で「ななもり川原」と合流する。


平良村
へらむら

[現在地名]朽木村平良

針畑はりはた川流域山間部にあり、北の上流桑原くわばら村。文明二年(一四七〇)一二月一日の地頭方林番下番四二寸銭注文(朽木文書)によれば、「平羅」の道万・新二良・く内の三人が各一一九文を負担している。享禄三年(一五三〇)二月二一日の御元服付御懸銭帳(同文書)では「平良分」として新屋が三五〇文、ひた地が二五〇文を負担。同四年八月一五日の中村友尚書状(同文書)によれば、「はりはたひらえかう」の代官職補任につき、久多くた(現京都市左京区)の弥三郎に「御近所之事候間」と助力を求めている。寛永石高帳では高五九石余、ほかに二貫一二〇文。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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