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広告効果測定 こうこくこうかそくてい measurement of advertising effect

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知恵蔵2015の解説

広告効果測定

広告の効き目を客観的に測ること。売上高への影響という側面から測定する方法と、売り上げ(消費者サイドから見れば購買)に至る前の段階で、広告の到達度や消費者の心理過程に及ぼす影響(コミュニケーション効果)をみる方法とが存在する。前者では、(1)ある地域における広告投入量と売り上げの関係を時系列的に観察してその効果をみる方法、(2)似たような地域をいくつか選ぶか、あるいは多くの地域を無作為に分割した上で、異なる広告投入量と売り上げの関係をみる実験的方法が考えられる。後者では、(1)露出度や視聴率に代表される広告の到達度を測定する方法と、(2)意思決定プロセス(記憶、態度、イメージ、購買意図等)への影響度をみる方法がある。購買までの意思決定プロセスの階層を仮定し広告効果を捉える方法としては、AIDMA(アイドマ:注意〈attention〉、興味〈interest〉、欲求〈desire〉、記憶〈memory〉、行動〈action〉)が有名。売上高は必ずしも広告だけで決まるわけではなく、その効果だけを客観的に峻別することは困難なため、実際にはコミュニケーション効果の測定の方が一般的である。

(高橋郁夫 慶應義塾大学教授 / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

広告効果測定
こうこくこうかそくてい

広告によって広告目的がどの程度達成されたかを判定するため、広告の送り手が、広告内容を伝達したのちに、受け手に及ぼした影響を測定すること。[島守光雄]

内容と測定法

広告の効果には、(1)注目させる(広告認知効果)、(2)態度を変えさせる(心理変容効果)、(3)行動を起こさせる(購買喚起効果)、の3段階があり、この各段階においてもさらにいくつかに分かれる。
 まず広告認知効果の段階においては、目標としている消費者に到達または接触される可能性がどのくらいあるかというカバレージの問題がある。新聞や雑誌の広告ではリーダーシップ(読者数)や閲読率が、テレビやラジオの場合には番組CMやスポットの視聴率が具体的測定対象となる。次は注目率の次元である。その広告がいかに見られたか、ターゲットを正確にとらえたかどうかを測定する次元である。具体的には企業知名度、商品・銘柄知名度がこれに相当する。
 第二の心理変容効果の段階は、注目された広告が目的とした知識を与え、理解され、イメージや態度に好ましい影響を与えたかどうかを問題にする段階である。このなかには悪いイメージをもっていた人をよいイメージに変える改変効果、中性的態度の人を好意的にさせる創成効果、反感の強かった人のそれを弱めるための減殺効果、現在の好意的態度をさらに強固にする補強効果、などがある。この心理変容の程度を具体的にとらえるためには理解率、好意率で表現する。
 第三の購買喚起効果の段階は、広告が実際にある商品やサービスを購入するまでにさせたかどうかを測定する次元である。具体的には購入意図率で計ることができるが、この数字には気まぐれや偶発的要因で購入される場合も含まれている。この、いわゆる試し買いを購買の段階で定着化させるのが、広告の最終目標ということになる。
 広告の効果は以上のように複雑な要因から形成されるので、広告効果測定には、まずどの段階の効果をねらうかという点がとくにたいせつである。[島守光雄]

歴史

日本における広告調査の手法は、第二次世界大戦後アメリカから入ってきたものが多い。早くからマーケティングが発達していたアメリカでは、市場調査なしにマーケティングが考えられなかったからである。アメリカの広告調査は20世紀初頭に始まる。ノースウェスタン大学のスコットW. D. Scott(1869―1955)が1908年に刊行した『広告心理学』が、その最初の研究成果である。スコットの弟子のスターチD. Starch(1883―1979)は、1932年にスターチ・アンド・スタッフという調査会社を設立した。この会社では、サンプリングで選ばれた読者に広告を見せて、見た覚えがあるかどうかを聞く調査方法を用いた。この手法が日本にも紹介され、電通や中部日本新聞社(現、中日新聞社)が初めて注目率調査を行ったのは1953年(昭和28)のことである。
 広告効果をコミュニケーション効果で測るべきであると最初に主張したのはコーレイR. H. Colleyである。彼はANA(アメリカ広告主協会)の依頼を受けてこの説を『DAGMAR――Defining Advertising Goals for Measured Advertising Results』(1961)で主張した。これに対して、1965年に行われたマーケティング大会で批判が続出した。これを受けて、ANAが、今度は売上高に与える広告効果測定の研究をキャンベルR. H. Campbellに依頼した。キャンベルはその研究成果を『Measuring the Sales and Profit Result of Advertising』(1969)にまとめた。
 このように、注目率調査に始まりコミュニケーション効果から売上高効果への追求へと進められてきた広告効果調査の総評を、ANAがラモンドC. Ramondに委嘱した。ラモンドは1955年から75年までの広告調査の系譜を調べて『Advertising Research : The State of the Art』(1976)を著した。本書では前記2書を並べて、広告の効果は、コミュニケーション効果と売上高効果の両方を押さえることが必要であると主張している。[島守光雄]

副次的効果と広告効果モデル

以上のような本来的効果のほかに、昨今では副次的効果、つまり送り手が予測しえない二義的な効果が注目されてきている。それは、(1)CMソングのヒット、(2)広告コピーの流行語化、(3)広告作品のパロディー化、(4)タレント・キャラクターの人気上昇、(5)広告自体の話題性獲得、などである。この背景としては、現在のような成熟市場では商品自体での差別化を図らざるをえない、という広告主側の戦略意図があると考えられる。
 なお、本来的広告効果をとらえるモデルとして、コーレイが唱えたDAGMARモデル以降に、アメリカの広告調査財団のARFモデル(1961)やハワードJ. A. HowardとシェスJ. N. Shethが1969年に発表した消費者意思決定モデルなどがある。しかし、こういったモデルは、その構造が複雑になりすぎるという短所があり実用的に応用することが難しいといわれている。このように広告効果調査については、測定が困難であるだけに問題点が多く、今後とも多くの論戦が展開されることが予想されている。[島守光雄]
『C・ラモンド著、八巻俊雄訳『広告効果測定の技術』(1981・ダイヤモンド社) ▽JNNデータバンク編『テレビCMの広告効果』(1981・誠文堂新光社) ▽島守光雄著「雑誌を中心とする広告効果研究」(日本出版学会編『出版研究』13所収・1983・講談社) ▽小島裕二著『テレビCMのカルテ』(1986・日経広告研究所) ▽小林太三郎監修『広告効果測定ハンドブック』(1987・日本能率協会) ▽G・フランツェン著、八巻俊雄・島村和恵・丸岡吉人訳『広告効果――データと理論からの再検証』(1996・日本経済新聞社)』

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ) この辞書の凡例を見る
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