営中に宿直(とのい)して将軍に近侍する番衆の一つ。鎌倉幕府は1257年(正嘉1),仙洞の制を模して廂番を設け〈当参の人数の中,或いは然るべきの仁,或いは要枢の輩(ともがら)を撰〉んで6番に結番し,交替で昼夜将軍に近侍させることとした。各番10人でその中の1人を番頭とした。番頭には,主として京下りの公卿殿上人や,北条氏一門の者を任じた。60年(文応1)には,各番の成員を12人に増加している。建武新政府も,足利直義に奉じられて鎌倉に下向した征夷大将軍成良親王の下に関東廂番を置いた。《建武年間記》によってその構成をうかがうと,6番編成で,各番の成員は6~7名,総員39名であった。番衆には二階堂,大江,後藤,中原,伊東など,鎌倉幕府の評定・引付に名を連ねた者の一族が大部分を占め,ほかに高,上杉らの足利氏被官が含まれている。ただし番頭はいずれも足利氏一門である。なお関東廂番は,御所内警衛のみならず,引付・内談(ないだん)の機能をも有していたらしい。
執筆者:二木 謙一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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