弓八幡(読み)ユミヤワタ

デジタル大辞泉 「弓八幡」の意味・読み・例文・類語

ゆみやわた〔ゆみやはた〕【弓八幡】

謡曲脇能物世阿弥作。後宇多院臣下男山八幡宮初卯はつう神事に参詣すると、八幡宮末社である高良こうらの神が現れ、八幡神徳を説いて御代を祝う。

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精選版 日本国語大辞典 「弓八幡」の意味・読み・例文・類語

ゆみやわたゆみやはた【弓八幡】

  1. 謡曲。脇能物。各流。世阿彌作。後宇多院の宣旨をうけた臣下が男山八幡宮初卯(はつう)の神事に参詣すると、弓を錦の袋に入れて持った老人が現われ、桑の弓を君にささげるためにあなたを待っていたと語ってそれを渡す。そして弓矢天下を治めるいわれなどを語り、自分は八幡宮の末社高良(こうら)の神だと名乗って姿を消す。臣下が帰ろうとすると、今度は高良の神が本姿を現わし、舞を舞って御代を祝う。

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改訂新版 世界大百科事典 「弓八幡」の意味・わかりやすい解説

弓八幡 (ゆみやわた)

能の曲名脇能。神物。世阿弥作。シテは高良神(かわらのしん)の神霊。後宇多院の廷臣(ワキ)が,勅命で男山八幡(おとこやまはちまん)の初卯(はつう)の祭に赴くと,弓袋を携えた老人(前ジテ)が若者(ツレ)を連れてやってきて,これは帝への捧げ物だという。そして,神代には桑の弓と蓬(よもぎ)の矢で天下を治めたというが,今は泰平の世なので袋に納めて捧げるのだと説明する。老人はなお,応神天皇を祭った男山八幡の縁起を物語り(〈クセ〉),自分はその末社の高良神であると名のって消え失せる。やがて高良神の神霊(後ジテ)が姿を現し,さわやかな舞を舞い(〈神舞〉),八幡の神徳をたたえる(〈ロンギ〉)。この能はクセと神舞が中心で,泰平の世をことほぐことに徹しており,作者世阿弥が脇能の代表作にあげている。箏曲《弓八幡》の原拠
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