固体の中では,ひずみがないときに原子はエネルギーのもっとも低い配置になっている。ひずみは,原子の位置をエネルギー最低の配置からずらすことになるから,物体のエネルギーは増大する。このエネルギーの増加分を弾性エネルギー,またはひずみエネルギーstrain energyと呼ぶ。変形に伴って応力のなす仕事が,これに対応する。弾性エネルギーは,原子の配置の変化に伴って増加するエネルギーであるからポテンシャルエネルギー(位置エネルギー)であり,外力を0にすると,ひずみが0に戻るとともにエネルギーも元に戻ってしまう。実際の物質では,ひずませるときに種々の原因で弾性エネルギーの増加のほかに余分の仕事を必要とする場合が多い。これらの余分の仕事は,物体の熱エネルギーに変換され,これは外力を元に戻しても元に戻らない。
→内部摩擦
執筆者:二宮 敏行
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…これが伸びx0のばねにとりつけられた物体の位置エネルギーである。ここでの物体の位置エネルギーをばねに蓄えられたエネルギーとみて,ばねの弾性エネルギーと呼ぶこともある。重力の場合,位置エネルギーは高さだけで決まり,地上からその位置までの道筋や,そこまでもち上げる方法にはよらない。…
…これが応力の原因である。逆にいえば,ひずみが生じている物体はそれだけエネルギーを蓄えていることになり,このエネルギーを弾性エネルギーと呼ぶ。伸びのひずみを起こす応力は,面に垂直な方向の力(伸びの応力)であり,また,ずれのひずみを起こさせる応力は面に平行な力である。…
※「弾性エネルギー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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