彦崎貝塚(読み)ひこさきかいづか

日本歴史地名大系 「彦崎貝塚」の解説

彦崎貝塚
ひこさきかいづか

[現在地名]灘崎町彦崎

稲荷いなり山の稜線北東に向かって下った麓、旧児島湾に面して残された縄文時代の貝塚。扇状地の上にあり、海食によって生じた二・三メートルの比高を示す小崖にのっている。前面の海は一八世紀末以降の干拓で姿を消したが、貝層を構成しているのはハイガイハマグリカキオキアサリなどで、主として泥海性の貝類からなっている。昭和二二年(一九四七)造成工事で主要部を失い、その後、翌年から二年にわたって発掘調査された。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

国指定史跡ガイド 「彦崎貝塚」の解説

ひこざきかいづか【彦崎貝塚】


岡山県岡山市南区彦崎にある貝塚遺跡瀬戸内海に面した旧児島湾の南岸に所在する、縄文時代前期から晩期にかけての貝塚である。2003年(平成15)から発掘調査が行われ、縄文時代前期には南北約100m、東西約80mの範囲に西日本最大の貝塚がつくられ、縄文時代晩期まで続いていたことが明らかになった。貝層は同一地点に重層的に形成され、厚さが1.7mあることが確認された。また、丘陵先端の低湿地部ではドングリ貯蔵穴が見つかっている。屈葬埋葬の人骨25体が発見され、なかには胎児がいる女性人骨も含まれる。数多くの土器石器が発見され、土器は「彦崎式土器」として縄文時代前期および後期標式土器として扱われている。出土品には、貝や骨でつくった腕輪などの装飾品などや、貝や獣骨、魚骨などの自然遺物も多い。縄文時代前期から晩期にかけての集落構造とその変遷過程が明らかになった大規模貝塚として、2008年(平成20)に国の史跡に指定された。JR宇野線彦崎駅から徒歩約5分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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