待機児童問題(読み)たいきじどうもんだい

共同通信ニュース用語解説 「待機児童問題」の解説

待機児童問題

国と自治体から補助金が出る認可保育施設などを希望しても、定員オーバーで入れない子ども全国で2万6081人(今年4月時点)に上り、出産した女性の職場復帰の妨げになっている。政府は本年度末までに待機児童を解消する計画を立てていたが、ニーズ増加保育士人手不足で受け皿整備が追いつかず、達成時期を2020年度末までに先送りした。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「待機児童問題」の意味・わかりやすい解説

待機児童問題
たいきじどうもんだい

認可保育所入所申請をしても、希望する保育所に入所できない子供がいるという社会問題。入所できない理由は、定員超過、施設の場所や託児できる時間帯が希望とあわないことなどである。待機児童問題は、親の子育てに対する不安感を高め、ひいては少子化問題を深刻化させ、親の産休後や育児休暇後の就労を妨げることから、男女共同参画社会の実現を妨げる一因にもなっている。

 厚生労働省の資料によると2016年(平成28)4月時点で待機児童は全国に2万3553人いる。このうち、産休や育児休暇後に託児先を探すケースが含まれる0~2歳児は2万0446人で、待機児童全体の86.8%を占めている。また、都道府県別では、東京都8327人、沖縄県1977人、千葉県1246人の3都県にきわめて多く、全国的に都市部に偏在している。なお、全国で保育所を利用する児童数は約245万8607人で、保育所の定員数に対する充足率は93.3%に達しており、ほぼ満員の状態にある。

 待機児童は、男女雇用機会均等法施行(1986)や、都市部での核家族化の進展により、1990年代後半から急増し始めた。国は少子化対策や男女共同参画社会の実現に向けて、1994年(平成6)にエンゼルプラン(「今後の子育て支援のための施策の基本的方向について」)を制定。0~2歳児の低年齢児保育や延長保育、施設の充実などを進め、以降、新エンゼルプラン(「重点的に推進すべき少子化対策の具体的実施計画について」、1999年12月制定)、待機児童ゼロ作戦(2001年7月制定)、子ども・子育て応援プラン(2004年12月制定)、新待機児童ゼロ作戦(2008年2月制定)、待機児童解消加速化プラン(2013年4月制定)などを実施してきた。待機児童数は、2007年には1万7926人にまで減少したが、その後、長引く不況によって共働き世帯が増加し、ふたたび増加に転じた。以降も、年度ごとに保育所定員数は着実に増加し、2011~2014年には待機児童数は連続してやや減少したものの、需給のバランスを大きく改善するまでには至っておらず、2015、2016年はふたたび増加傾向となった。

 また、入所が困難であるため、はじめからあきらめて申し込みをしない場合や保護者が育児休業である場合には待機児童としてカウントされない。このため利用枠が広がっても、その分だけ希望者が増えるという現象がみられる。こうした潜在的な待機児童について、厚生労働省は2016年4月時点で6万7354人いるとしている。

[編集部 2017年9月19日]

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