後ガス(読み)あとガス

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「後ガス」の意味・わかりやすい解説

後ガス
あとガス

(1) after gases; after damp 坑内火災またはガス炭塵爆発時 (→ガス爆発 , 炭塵爆発 ) に発生するガス。酸素分が少く,有毒な一酸化炭素分が多いのできわめて危険で,濃厚な後ガスを直接吸入するとただちに失命するおそれがある。従来炭鉱爆発による死者の 80~90%は爆発による直接死ではなく,後ガス中毒によるものであった。現在では炭鉱の坑内労働者は一酸化炭素自己救命器を携行することが法律で義務づけられ,万一の場合の被害を防止するようにしている。 (2) blasting fume 発破の際に発生するガス。工業爆薬が爆発すると二酸化炭素,窒素水蒸気などのほか一酸化炭素,一酸化窒素,二酸化窒素などの有害ガスが多少発生する。これらの有害ガスは発破条件が不適当なとき,特に爆薬の燃焼が起ったときなどに多くなる。したがって発破の後ガスがすみやかに排除されるように通気を十分行う必要がある。

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世界大百科事典(旧版)内の後ガスの言及

【火薬】より

…硝安油剤爆薬は,プリル硝安(多孔性粒状硝酸アンモニウム)に軽油を約6%混合した簡単な組成で,価額も安く比較的鈍感で安全な爆薬である。静電気を発生しやすい,吸湿性がある,威力が小さい,後ガスが有毒であるなどの問題点がある。含水爆薬は比較的最近開発された爆薬で,硝酸アンモニウムその他の酸化剤と燃料兼鋭感剤の混合物であるが,水と気泡を含んでいるのが特徴である。…

※「後ガス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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