デジタル大辞泉
「西沢一風」の意味・読み・例文・類語
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にしざわ‐いっぷう【西沢一風】
- 江戸中期の浮世草子・浄瑠璃作者。大坂の書肆正本(しょうほん)屋主人。本名、義教。通称、九左衛門。別号、与志など。「新色五巻書」の発表以来、「御前義経記」などの浮世草子が好評を博し、西鶴没後の浮世草子界で活躍。享保八年(一七二三)頃から豊竹座の座付作者として浄瑠璃を執筆。作品に「北条時頼記」、浄瑠璃の歴史・故実を記した「今昔操年代記」など。寛文五~享保一六年(一六六五‐一七三一)
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西沢一風 (にしざわいっぷう)
生没年:1665-1731(寛文5-享保16)
江戸中期の大坂の本屋,浮世草子・浄瑠璃作者。名は義教,通称九左衛門。別号は与志,集楽軒,朝義。1699年(元禄12)ころより父の正本屋西沢太兵衛のあとを継ぎ,演劇・歌謡関係書を出版,後年は浄瑠璃本出版に力を入れた。若年より小説・演劇の愛好者で,演劇愛好心と本屋としての時好を見通す目とが結びつき,1700年刊《風流御前義経記(ごぜんぎけいき)》で,西鶴一辺倒の浮世草子界に新しい方向を開いた。この作によって古典色・演劇色導入による伝奇化,趣向重視,長編化の端緒を作った。《伊達髪(たてがみ)五人男》(1706),《傾城伽羅(けいせいきやら)三味線》(1710)などの作で江島其磧(きせき)と対抗し,小説界をリードしたが,其磧に敗退し10年ころより活動は低調となり,23年ころよりは豊竹座の作者として《北条時頼記(じらいき)》(1726)など数曲の浄瑠璃を若い作者の協力で発表。また演劇界の事情に通じ,《今昔操年代記(いまむかしあやつりねんだいき)》(1727)という浄瑠璃の歴史・故実を述べた著作もある。
執筆者:長谷川 強
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西沢一風
にしざわいっぷう
(1665―1731)
江戸中期の浮世草子作者。本名義教(よしのり)。別号与志(よし)、朝義(あさよし)。大坂の本屋西沢太兵衛の子で、1699年(元禄12)ごろより正本屋(しょうほんや)九左衛門を称し、演劇、歌謡書の出版を業とする。一方、浮世草子作者として、98年『新色五巻書(しんしきごかんじょ)』をはじめとし、代表作『御前義経記(ごぜんぎけいき)』(1700)などを執筆し、同時期の江島其磧(えじまきせき)と対抗して浮世草子界に新機運を開いた。しかし、1710年(宝永7)ごろより活動は低調となり、23年(享保8)ごろからは豊竹(とよたけ)座の作者として、『北条時頼記(じらいき)』(1726)などの浄瑠璃(じょうるり)を若い作者と協力してつくり、『今昔操年代記(いまむかしあやつりねんだいき)』(1727)という浄瑠璃の歴史、故実書をも出している。享保(きょうほう)16年5月24日没。
[長谷川強]
『野間光辰校注『日本古典文学大系91 浮世草子集』(1966・岩波書店)』▽『長谷川強著『浮世草子の研究』(1969・桜楓社)』
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西沢一風【にしざわいっぷう】
江戸中期の浮世草子,浄瑠璃作者。通称九左衛門。大坂の書肆(しょし)。初め西沢与志。1720年ごろまで浮世草子を書き,伝奇的作風で,江島其磧と人気を二分していたが,やがて衰退。その後浄瑠璃に転向,豊竹座に所属。浮世草子に《風流御前義経記》《伊達髪(だてがみ)五人男》,浄瑠璃に《北条時頼記(じらいき)》など。
→関連項目好色本|並木宗輔
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西沢一風
にしざわいっぷう
[生]寛文5(1665).大坂
[没]享保16(1731).5.24. 大坂
江戸時代中期の浮世草子作者,浄瑠璃作者。名,義教。通称,九左衛門。別号,西沢与志,朝義。父太兵衛は大坂の正本屋。『伝奇作書』の著者西沢一鳳は曾孫。若いときから書に親しみ,父の業を継ぐかたわら浮世草子を書き,西鶴の模倣から脱して古典の翻案などの新手を用い,長編物へと転じた。宝永以後は豊竹座の座付き作者として浄瑠璃界で活躍,『北条時頼記』 (1726) などを書いた。浮世草子『新色五巻書』 (1698) ,『御前義経記』 (1700) ,『乱脛 (みだれはぎ) 三本鑓 (やり) 』 (18) ,浄瑠璃史『今昔操 (いまむかしあやつり) 年代記』 (27) など。
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西沢一風 にしざわ-いっぷう
1665-1731 江戸時代前期-中期の浮世草子作者,浄瑠璃(じょうるり)作者。
寛文5年生まれ。大坂の書店正本屋をつぎ,演劇本などを出版。かたわら「御前義経記(ぎけいき)」などの浮世草子を執筆。のち豊竹座の座付作者となり,並木宗輔らとの合作「北条時頼記(じらいき)」は好評を博した。「今昔操(いまむかしあやつり)年代記」は浄瑠璃の故実・歴史書。享保(きょうほう)16年5月24日死去。67歳。名は義教。通称は九左衛門。別号に朝義,与志。
【格言など】命一つは露のかり物(「御前義経記」)
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