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西沢一風 にしざわいっぷう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

西沢一風
にしざわいっぷう

[生]寛文5(1665).大坂
[没]享保16(1731).5.24. 大坂
江戸時代中期の浮世草子作者,浄瑠璃作者。名,義教。通称,九左衛門。別号,西沢与志,朝義。父太兵衛は大坂の正本屋。『伝奇作書』の著者西沢一鳳は曾孫。若いときから書に親しみ,父の業を継ぐかたわら浮世草子を書き,西鶴の模倣から脱して古典の翻案などの新手を用い,長編物へと転じた。宝永以後は豊竹座の座付き作者として浄瑠璃界で活躍,『北条時頼記』 (1726) などを書いた。浮世草子『新色五巻書』 (1698) ,『御前義経記』 (1700) ,『乱脛 (みだれはぎ) 三本鑓 (やり) 』 (18) ,浄瑠璃史『今昔操 (いまむかしあやつり) 年代記』 (27) など。

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デジタル大辞泉の解説

にしざわ‐いっぷう〔にしざは‐〕【西沢一風】

[1665~1731]江戸中期の浮世草子・浄瑠璃作者。大坂の人。名は義教。西鶴以後の代表的浮世草子作者。また、正本(しょうほん)屋を営みながら、豊竹座で浄瑠璃を執筆。浮世草子「御前義経記」、浄瑠璃「北条時頼記」、著「今昔操年代記(いまむかしあやつりねんだいき)」など。

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百科事典マイペディアの解説

西沢一風【にしざわいっぷう】

江戸中期の浮世草子浄瑠璃作者。通称九左衛門。大坂の書肆(しょし)。初め西沢与志。1720年ごろまで浮世草子を書き,伝奇的作風で,江島其磧と人気を二分していたが,やがて衰退。
→関連項目好色本並木宗輔

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デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説

西沢一風 にしざわ-いっぷう

1665-1731 江戸時代前期-中期の浮世草子作者,浄瑠璃(じょうるり)作者。
寛文5年生まれ。大坂の書店正本屋をつぎ,演劇本などを出版。かたわら「御前義経記(ぎけいき)」などの浮世草子を執筆。のち豊竹座の座付作者となり,並木宗輔らとの合作「北条時頼記(じらいき)」は好評を博した。「今昔操(いまむかしあやつり)年代記」は浄瑠璃の故実・歴史書。享保(きょうほう)16年5月24日死去。67歳。名は義教。通称は九左衛門。別号に朝義,与志。
【格言など】命一つは露のかり物(「御前義経記」)

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朝日日本歴史人物事典の解説

西沢一風

没年:享保16.5.24(1731.6.28)
生年:寛文5(1665)
江戸時代の浮世草子作者,浄瑠璃作者,書肆。名は義教,九左衛門と称する。大坂の正本屋太兵衛の子。元禄11(1698)年前後に家業を継いだと思われるが,それ以前,すでに色茶屋案内記『茶屋諸分調方記』(1693)などを書いていたといわれる。元禄11年,浮世草子の処女作『新色五巻書』を出版。次作『御前義経記』(1700)が好評を博して,浮世草子に新風をおこした。一風の浮世草子は,近時の恋愛事件などを題材としたり,古典をやつし,演劇を利用することなどを特徴とするが,江島其磧との競争期を経て,其磧の浮世草子が主流になると,浮世草子からはほぼ退いた。享保8(1723)年,豊竹座の座付作者紀海音が引退すると,それに代わり,並木宗輔らと合作で浄瑠璃を執筆。享保11(1726)年初演の「北条時頼記」は大当たりをとった。<参考文献>長谷川強『浮世草子の研究』,原道生校訂『叢書江戸文庫』10巻

(樫澤葉子)

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世界大百科事典 第2版の解説

にしざわいっぷう【西沢一風】

1665‐1731(寛文5‐享保16)
江戸中期の大坂の本屋,浮世草子・浄瑠璃作者。名は義教,通称九左衛門。別号は与志,集楽軒,朝義。1699年(元禄12)ころより父の正本屋西沢太兵衛のあとを継ぎ,演劇・歌謡関係書を出版,後年は浄瑠璃本出版に力を入れた。若年より小説・演劇の愛好者で,演劇愛好心と本屋としての時好を見通す目とが結びつき,1700年刊《風流御前義経記(ごぜんぎけいき)》で,西鶴一辺倒の浮世草子界に新しい方向を開いた。この作によって古典色・演劇色導入による伝奇化,趣向重視,長編化の端緒を作った。

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大辞林 第三版の解説

にしざわいっぷう【西沢一風】

1665~1731) 江戸中期の浮世草子・浄瑠璃作者。名は義教。大坂の書肆しよし。西鶴没後の関西の代表的作者。通俗的文体で八文字屋本の先駆をなす。浄瑠璃作者としては豊竹座に所属。著、浮世草子「御前義経記」「女大名丹前能」、浄瑠璃「北条時頼記」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

西沢一風
にしざわいっぷう
(1665―1731)

江戸中期の浮世草子作者。本名義教(よしのり)。別号与志(よし)、朝義(あさよし)。大坂の本屋西沢太兵衛の子で、1699年(元禄12)ごろより正本屋(しょうほんや)九左衛門を称し、演劇、歌謡書の出版を業とする。一方、浮世草子作者として、98年『新色五巻書(しんしきごかんじょ)』をはじめとし、代表作『御前義経記(ごぜんぎけいき)』(1700)などを執筆し、同時期の江島其磧(えじまきせき)と対抗して浮世草子界に新機運を開いた。しかし、1710年(宝永7)ごろより活動は低調となり、23年(享保8)ごろからは豊竹(とよたけ)座の作者として、『北条時頼記(じらいき)』(1726)などの浄瑠璃(じょうるり)を若い作者と協力してつくり、『今昔操年代記(いまむかしあやつりねんだいき)』(1727)という浄瑠璃の歴史、故実書をも出している。享保(きょうほう)16年5月24日没。[長谷川強]
『野間光辰校注『日本古典文学大系91 浮世草子集』(1966・岩波書店) ▽長谷川強著『浮世草子の研究』(1969・桜楓社)』

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