精選版 日本国語大辞典 「西沢一風」の意味・読み・例文・類語
にしざわ‐いっぷう【西沢一風】
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江戸中期の大坂の本屋,浮世草子・浄瑠璃作者。名は義教,通称九左衛門。別号は与志,集楽軒,朝義。1699年(元禄12)ころより父の正本屋西沢太兵衛のあとを継ぎ,演劇・歌謡関係書を出版,後年は浄瑠璃本出版に力を入れた。若年より小説・演劇の愛好者で,演劇愛好心と本屋としての時好を見通す目とが結びつき,1700年刊《風流御前義経記(ごぜんぎけいき)》で,西鶴一辺倒の浮世草子界に新しい方向を開いた。この作によって古典色・演劇色導入による伝奇化,趣向重視,長編化の端緒を作った。《伊達髪(たてがみ)五人男》(1706),《傾城伽羅(けいせいきやら)三味線》(1710)などの作で江島其磧(きせき)と対抗し,小説界をリードしたが,其磧に敗退し10年ころより活動は低調となり,23年ころよりは豊竹座の作者として《北条時頼記(じらいき)》(1726)など数曲の浄瑠璃を若い作者の協力で発表。また演劇界の事情に通じ,《今昔操年代記(いまむかしあやつりねんだいき)》(1727)という浄瑠璃の歴史・故実を述べた著作もある。
執筆者:長谷川 強
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江戸中期の浮世草子作者。本名義教(よしのり)。別号与志(よし)、朝義(あさよし)。大坂の本屋西沢太兵衛の子で、1699年(元禄12)ごろより正本屋(しょうほんや)九左衛門を称し、演劇、歌謡書の出版を業とする。一方、浮世草子作者として、98年『新色五巻書(しんしきごかんじょ)』をはじめとし、代表作『御前義経記(ごぜんぎけいき)』(1700)などを執筆し、同時期の江島其磧(えじまきせき)と対抗して浮世草子界に新機運を開いた。しかし、1710年(宝永7)ごろより活動は低調となり、23年(享保8)ごろからは豊竹(とよたけ)座の作者として、『北条時頼記(じらいき)』(1726)などの浄瑠璃(じょうるり)を若い作者と協力してつくり、『今昔操年代記(いまむかしあやつりねんだいき)』(1727)という浄瑠璃の歴史、故実書をも出している。享保(きょうほう)16年5月24日没。
[長谷川強]
『野間光辰校注『日本古典文学大系91 浮世草子集』(1966・岩波書店)』▽『長谷川強著『浮世草子の研究』(1969・桜楓社)』
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