御身拭(読み)おみぬぐい

精選版 日本国語大辞典 「御身拭」の意味・読み・例文・類語

おみ‐ぬぐい ‥ぬぐひ【御身拭】

〘名〙
寺院で、本尊の像身を白布で拭い清めること。また、その儀式。特に、陰暦三月一九日、京都清涼寺で行なわれるものが有名。また、京都の知恩院で、毎年一二月二五日に行なわれる祖師の像を拭い清めることもいう。おみのごい。〔俳諧・毛吹草(1638)〕
② ゆかたをいう女房詞。おみかけ。〔女房躾書(室町末)〕
[補注]①のうち、陰暦三月一九日に京都の清涼寺で行なわれるものは春の季語

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改訂新版 世界大百科事典 「御身拭」の意味・わかりやすい解説

御身拭 (おみぬぐい)

仏像や祖師像に付着した塵埃をぬぐい清めること,またその法要をいう。京都市嵯峨の清凉寺(釈迦堂)のそれが歴史的にも名高い。毎年4月19日(もと3月)に,香水(こうずい)に浸した白木綿で本尊の釈迦像をぬぐい,これを信者にあたえる。この白木綿を死後経帷子にすると,往生できるという。その起源は,寺伝によれば,安嘉門院が本尊のお告げで牛に転生した母のことを知り,その牛を飼っていたが,3月19日にその牛が死んだので,赤栴檀せんだん)の本尊をぬぐって香りのついた布を牛にかぶせたところ,母は往生できた。これより,本尊のにおいを布にうつして衆生を救う法要が営まれるようになったという。《二水記》など中世文献にも御身拭参詣の記事が出ている。寺院の年中行事として行われる場合,時期的には歳末が多い。知恩院では,12月25日に多くの修行僧が見まもるなか,御影堂の法然像が住職によって払拭され,その布が篤信者に分けあたえられる。
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