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忍冬文 にんどうもん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

忍冬文
にんどうもん

主要な仏教系文様の一種。基本形は数枚の葉が扇状に広がった形であるが,その半截形も多く用いられた。忍冬スイカズラ科の植物で,葉の一部が越冬するのでこの名がある。しかし,文様系統は,すいれんの側面形に聖樹椰子の葉などが加味されてできたものと考えられており (→パルメット ) ,正しくは忍冬ではないが,日本ではこの名が一般に用いられている。すなわち,文様の起源はギリシアにあり,古代東方文様の基本的形式であるパルメット形式によることは明らかである。忍冬文は単独でなく,つるを伸ばして忍冬唐草文として西アジアから大陸全域に分布している。中国では六朝時代,仏教美術に盛んに用いられ,日本でも飛鳥・奈良時代に流行した。文様形態には各種の変化がみられるが,きわめて優美な文様。法隆寺の『玉虫厨子』や灌頂幡 (→ ) は代表的な例であるが,瓦の文様にも用いられている。

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デジタル大辞泉の解説

にんどう‐もん【忍冬文】

スイカズラのようなつる草を図案化した唐草文様パルメットが伝来する過程で変化し生まれたものと考えられ、日本には中国を経て渡来。飛鳥(あすか)・奈良時代の美術に影響を与えた。忍冬唐草文。

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大辞林 第三版の解説

にんどうもん【忍冬文】

忍冬唐草文 」に同じ。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

忍冬文
にんどうもん

古墳時代後期から飛鳥時代にかけて大陸から入ってきた唐草模様。扇状に広がった唐草の葉が、スイカズラ科の植物であるニンドウに似ているところから忍冬文の名がある。しかしながら、この模様は実は西アジアにおこったパルメットの半切形で、これがササン朝ペルシアを経て北魏(ほくぎ)時代(386~534)の中国に渡来し、先尖(せんせん)が長く延び、内に巻き込む独特の形式を生み出した。日本では静岡県御小家原(みこやはら)古墳出土の金銅杏葉(ぎょうよう)、福岡県沖島出土の金銅杏葉(いずれも6世紀)、法隆寺献納宝物の金銅灌頂幡(かんじょうばん)(7世紀)の縁飾りにみられる忍冬文が有名である。村元雄]

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世界大百科事典内の忍冬文の言及

【瓦】より

…新羅初期の瓦は百済の影響を受けたものであるが,三国統一以後の軒丸瓦は蓮華文を基調としながらも,鳥や動物などを飾った華麗な文様をもつ新羅独特のものである。軒平瓦も同時に発達し,忍冬文,飛天文,双竜文を瓦当面に飾るだけでなく,顎面にも文様を飾る。7世紀末葉から8世紀にかけて日本に少なからず影響を与えている。…

【パルメット】より

…これは古代エジプトのロータス系の文様が起源だとされ,各地域・時代でさまざまに展開した唐草文様の重要なモティーフになっている。パルメット文はかつて忍冬(にんどう)文と呼ばれたこともあったが,現在では必ずしも忍冬(スイカズラ)の模倣によって生じたのではなく,空想的な植物文様とみる方が有力となっている。エジプトでは扇形が左右対称で動きが少なかったが,それをリズミカルな植物文様としたのはギリシアである。…

※「忍冬文」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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