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玉虫厨子 たまむしのずし

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

玉虫厨子
たまむしのずし

法隆寺に伝わる飛鳥時代厨子。高さ 2.33m。国宝。宮殿形の厨子とそれを載せる須弥座 (しゅみざ) の2部分から成る。木製黒漆塗りで,要所は金銅透かし彫の金具で飾られ,ことに宮殿形には透かし金具の下に玉虫の羽根を伏せてあることからこの名がつけられた。

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百科事典マイペディアの解説

玉虫厨子【たまむしのずし】

法隆寺に伝わる宮殿形の厨子。装飾の透金の下にタマムシの翅をしくのでこの名がある。宮殿部と須弥(しゅみ)座に描かれた装飾画は大陸文化の影響の濃い飛鳥時代の特色を示す。
→関連項目飛鳥時代漆絵ジャータカ密陀絵

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世界大百科事典 第2版の解説

たまむしのずし【玉虫厨子】

法隆寺に伝世の,須弥座(しゆみざ)に宮殿形をのせた漆塗りの厨子。透し金具の下に玉虫の翅鞘を敷いていたことから《玉虫厨子》と呼ばれてきた。厨子の本尊仏は今は失われているが,内部の押出千仏像や漆塗りの扉,壁面などに,密陀絵で描かれた絵画や装飾文様はよく残っている。絵画は浄土図,須弥山図,仏供養図が須弥座腰板,宮殿背面に描かれ,扉には菩薩や天部の立像が描かれている。そして須弥座両側面に描かれた〈捨身飼虎(しやしんしこ)〉〈施身聞偈(せしんもんげ)〉の本生図は,異時同図法によって描かれた日本最古の説話画である。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

玉虫厨子
たまむしずし

奈良法隆寺に伝わる飛鳥(あすか)時代の厨子。国宝。現在は同寺大宝蔵殿に陳列。寺伝では推古(すいこ)天皇(在位592~628)が念持仏を祀(まつ)るため、日常座右に置いたものといわれているが、今日の研究ではそれよりすこし下って7世紀中ごろの作と考えられている。
 木造、漆塗り、総高226.6センチメートル。宮殿の形をした厨子の部分と、四隅に木の角柱を立て、板をはめ込んだ須弥座(しゅみざ)、それに台座の三つの部分からなる。長押(なげし)、柱、框(かまち)などには唐草(からくさ)文を透(すかし)彫りした精巧な金銅製金具を付すが、宮殿部の金具の下に玉虫の翅鞘(ししょう)が張り巡らされてあったところからこの名があり、一部にその跡がある。宮殿部は単層入母屋造(いりもやづくり)で、正面と側面に扉をつけ、軒に雲形肘木(ひじき)を配し、屋根は錣葺(しころぶ)きで、鴟尾(しび)をあげている。宮殿内部はすべて銅板打出し、鍍金(ときん)の押出(おしだ)し千体仏坐像(ざぞう)が張り付けてあり、もとは仏像が安置されてあったとする説と、この千体仏自体が本尊であったとする説とがあるが、両説とも確証がない(現在は別の金銅仏を安置する)。正面扉の2枚に二天王像、左右側面4枚の扉に四菩薩(ぼさつ)像。また宮殿部背面に鷲頭山(じゅとうせん)の舎利塔と羅漢(らかん)が描かれている。
 須弥座の正面は舎利供養図、背面には『海竜王経』を典拠とする須弥山(しゅみせん)図を描く。また須弥座の向かって右側は「捨身飼虎(しゃしんしこ)図」、左側は「施身聞偈(せしんもんげ)図」、いずれも釈迦(しゃか)の前生の物語である本生譚(ほんじょうたん)(ジャータカ)から題材をとって描いたもの。とくにこの本生図は細い伸びのある線を用い、表現も簡潔で、構図のまとめ方にむだがなく、肉身の部分には白色と朱とを混ぜた荏油(えのあぶら)に、乾燥を早めるために密陀僧(みつだそう)(一酸化鉛)を塗ったいわゆる密陀絵と漆絵の手法を併用している。これらの板絵はわが国最古の本格的な絵画の遺品として貴重なばかりでなく、建築・工芸のうえでも重要な価値を有するものである。[永井信一]

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世界大百科事典内の玉虫厨子の言及

【漆絵】より

…縄文晩期になると,おもに赤い漆で渦巻文,巴文などが計画的に配置される。絵画としての漆絵の最古のものは,法隆寺蔵の《玉虫厨子》とされる。壁面の絵は漆絵か密陀絵か異論があるが,筆致は漆線に似るといわれる。…

【漆工芸】より

…漆芸の世界でもそれまでのささやかな伝統は圧倒され,今までとはまったく異質でしかも高度な技術と置き換わった。その記念碑的作例が《玉虫厨子》であろう。素地に直接漆を塗り重ねて外観を整え,朱漆と密陀絵で仏画や忍冬(にんどう)文が描かれる。…

【タマムシ(玉虫)】より

…タマムシはその美しさで昔から親しまれてきた。また堅い翅は工芸にも適し,法隆寺の〈玉虫厨子〉は有名である。 タマムシ科Buprestidaeは世界から約6000種,日本からはウバタマムシ(イラスト),ヒシモンナガタマムシ(イラスト),クズノチビタマムシ(イラスト)など,約200種が記録されている。…

【密陀絵】より

…朝鮮金鈴塚からも新羅時代の密陀絵遺品が出土している。日本における古代の遺例は法隆寺釈迦三尊台座(623)や《玉虫厨子》である。両者の絵は密陀絵か漆絵か議論があるが,朱黄緑色の筆致には粘りがあるという。…

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