恵慶(読み)えぎょう

改訂新版 世界大百科事典 「恵慶」の意味・わかりやすい解説

恵慶 (えぎょう)

平安中期の歌僧生没家系とも不詳。〈播磨講師〉と伝えられ,《続詞花集》に権僧正尋禅が下向する恵慶に贈った歌があるが詳細は不詳。大中臣能宣,紀時文,清原元輔,平兼盛,曾禰好忠,安法法師らと交流し,和歌史上先駆的な作品を詠む。〈八重葎(やえむぐら)しげれる宿のさびしきに人こそ見えね秋は来にけり〉(《拾遺集》)も,すでに中世的な閑寂を主題とする。《拾遺集》以下勅撰集に55首入集。家集《恵慶集》を残す。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

朝日日本歴史人物事典 「恵慶」の解説

恵慶

生年生没年不詳
平安時代の僧侶歌人。「えけい」と読む説もある。出自などはさだかでないが,10世紀後半に歌人として活躍。一時播磨国分寺に住し「播磨講師」と呼ばれた。家集『恵慶集』には,平兼盛,清原元輔など中流身分の歌人たちとの広い交流の様がうかがわれて興味深い。曾禰好忠の作に応えた百首歌の詠作も行っているほか,安法とは特に親しく,彼の住した河原院荒廃を詠んだ「八重むぐら繁れる宿のさびしきに人こそ見えね秋は来にけり」の一首は有名である。他方,花山院源高明 などの上流貴族に依頼された作も多く,専門歌人としての一面を伝えている。『拾遺集』以下の勅撰集に入集。

(山本登朗)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「恵慶」の意味・わかりやすい解説

恵慶
えぎょう

平安時代中期の歌人。寛和年間 (985~987) を中心に活躍し,播磨の国分寺で経典の講義をする講師をつとめたこともあったらしい。大中臣能宣 (よしのぶ) ,紀時文,平兼盛らと交渉があり,また,当時河原院 (かわらのいん) に集った歌人たちのグループにおいて,安法 (あんほう) らとともにその中心的存在であった。『拾遺集』以下の勅撰集に 50首あまり入集。家集『恵慶法師集』。

恵慶
えけい

恵慶」のページをご覧ください。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「恵慶」の解説

恵慶 えぎょう

?-? 平安時代中期の歌人,僧。
天徳-寛和(かんな)(957-987)ごろ活躍し,曾禰好忠(そねの-よしただ),安法らと交わりがあった。「拾遺和歌集」以下の勅撰集に57首がのる。中古三十六歌仙のひとり。通称は播磨講師。法名は「えけい」ともよむ。家集に「恵慶法師集」。
【格言など】八重葎(やへむぐら)茂れる宿の寂しきに人こそ見えね秋は来にけり(「小倉百人一首」)

恵慶 えけい

えぎょう

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