感応精神病(読み)かんのうせいしんびょう(その他表記)induced insanity

改訂新版 世界大百科事典 「感応精神病」の意味・わかりやすい解説

感応精神病 (かんのうせいしんびょう)
induced insanity

ある患者発端となって,その精神症状がその患者と密接な関係にある他の1人あるいは多数の人々に同一の形であらわれる精神病をいう。したがって誘発された精神病的反応あるいは精神的伝染現象ということができる。2人の間に生じた場合を〈二人精神病〉と呼ぶが,多数の人にひろがることもあり,〈三人精神病〉などと呼ばれる。典型的には感応しやすい同一家族内,すなわち親子夫婦間に発生することが多い。集団的には同一病棟内の患者間,同一教団に属する信者間,時に民族宗教的な迷信に基づいて発生することがある。感応しやすい精神症状はパラノイア的な妄想幻覚とくに幻視興奮錯乱,ヒステリー発作などである。症状は発端者から離せば消失するが,そのまま維持される場合もある。この精神病の発生には暗示模倣の機制が大きな役割を占めている。
集団ヒステリー
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「感応精神病」の意味・わかりやすい解説

感応精神病
かんのうせいしんびょう
induced insanity; communicated insanity

ある精神病者と日常生活や体験などにおいて密接な関係にある人に,その患者の病状と同一の,あるいは一体となった形で発症する精神病。妄想,幻覚,錯乱,せん妄失神けいれんなどの症状を示すが,本質的には心因反応である。親子,夫婦,同胞など,2人組の間に起りやすい (2人組精神病) が,3人,4人,あるいは多数の間にもときにみられる。

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